平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)で大注目のカーリングに似た競技が、被災者を笑顔にしている。福島県いわき市主催の「カローリング大会」が4日、同市内で行われ、小学生からお年寄りまで市民72人が参加した。カローリングは、カーリングを参考に日本で考案された室内競技。カーリング女子代表で注目された「もぐもぐタイム」も飛び出すなど、会場は盛り上がった。東日本大震災後、誰でも気軽に楽しめ、運動不足も解消できるスポーツとして、市民から親しまれている。

 「いわきなら、『そだねー』でなく『んだねー』だな!」。カーリング女子の掛け声をまねた参加者の言葉で、日曜日の朝早くから、体育館に笑い声が響いた。優勝したのは、予選後の「もぐもぐタイム」でスイーツや菓子パンを食べてパワーを補給したチーム。メンバーの渡辺孝さん(75)は「コツはジェットローラーを離すタイミング。チームワークの良さと、栄養補給も良かったかな」と満足げな表情で話した。

 カローリングは、プラスチック製の「ジェットローラー」(2キロ)を、11メートル先のポイントゾーンに投げ込み、その得点を競う競技。体力を使わずルールも簡単で、年齢や性別を問わず一緒に楽しめる。この日は、小学1年の児童から80代後半のお年寄りまで、同じルールで大会に出場した。家族でチームを組んで参加した小3の鈴木智仁君は「カローリングは今日で8回目。難しいけど、だんだん楽しくなってきた」と、笑顔で話した。

 7年前の東日本大震災後は、市民の運動不足解消という役割も果たしてきた。震災発生から1カ月後、いわき市山間部にある遠野地区は、震度6弱の巨大余震で、地域が孤立するなどの被害を受けた。例年は、毎年秋に体育大会を行っていた同地区だが、7年前の秋から、高齢者や小さな子どもが参加できるカローリング大会に変更した。

 遠野地区体育協会の鈴木伸幸会長(58)は「『これから力を合わせて、がんばっぺ!』と、震災の年から誰でも参加しやすいカローリングにした。初めてだったけど、とても盛り上がった」。同地区は、いわき市内でもカローリングが盛んな地域と言われるようになった。

 市スポーツ推進委員会は、震災の1年半後から市内の各小学校を回って、室内スポーツを教える活動をしてきた。その中で、子どもたちに1番人気だったのが、カローリングだという。会川新平会長(69)は「いわき市にとっても大きなスポーツ。五輪のブームもあって、これからさらに人気が出そうです」。被災地に、カローリングが根付きつつある。【太田皐介】

 ◆カローリング 1993年(平5)6月に日本で誕生した室内競技。名古屋市のベアリング(軸受け)メーカー「中部ベアリング」の代表取締役、田中耕一氏が考案した。ジェットローラーが「軽やかにローリング(回転)」することが名前の由来。1チーム3人で、相手と交互にジェットローラーを投げ込み、その得点を競う。1試合は3イニング。1イニングごとに1人2投する。3イニングの合計得点で勝敗が決まる。1試合は10~15分ほど。