安倍晋三首相は22日、加計学園の獣医学部新設計画をめぐり、自身の答弁を根底から覆す経緯が記された「新・愛媛文書」の内容を、否定した。15年2月25日、加計孝太郎理事長との面会の事実はないとした上で、「官邸の記録を調べたが、確認できない」と発言。一方で菅義偉官房長官は記録は破棄済みと言及し、首相もその後、微妙に発言を修正する、慌てぶり。証拠を示さずに潔白を主張する首相の不明瞭さには、与党内でも危機感が拡大している。愛媛県はあらためて記録の正当性を主張した。

 愛媛県の中村時広知事は22日、安倍首相が「新・愛媛文書」の内容を否定したことについて、出張先の高知市で取材に「『そうですか』としか言えない。人の心や記憶は分からない」と突き放したように語った。文書について「国会の要請に基づいて出したもので、職員が3年前の文書を改ざんする必要はない」と、改めて正当性を主張。作成した職員と直接やりとりしたとし「書いた本人が自分の文体や中身は分かる」と、信ぴょう性を強調した。愛媛県幹部も「当時の担当職員が学園側から聞き取った内容を、正直に書いている。(職員が)脚色したり、うそをついたりする必要はない」と訴えた。