1966年に静岡県で一家4人が殺害された強盗殺人事件で死刑確定後、14年の静岡地裁の再審開始決定で釈放されたものの、6月に東京高裁から再審開始を認めない決定を受けた、元プロボクサー袴田巌さん(82)を支援する集会「袴田さん再収監を許さない」の会見が12日、都内の衆院第一議員会館で行われた。

この日、67年に茨城県で発生した強盗殺人事件「布川事件」の犯人として逮捕・起訴後、11年に再審で無罪を勝ち取った桜井昌司さん(71)が応援に駆け付け、19年3月に「冤罪(えんざい)被害者の会」を作る考えを明らかにした。

桜井さんは「裁判官が白を黒と言った後で、白とは変わりません。なぜ、裁判の世界だけは、白を黒と言って許されたままでいられるのでしょうか? 我々、冤罪被害者は本当に納得できません。布川事件も袴田事件も、警察の誤りによって作られた。日本は誤った捜査をしても訂正しない。なぜでしょうか?」と首をかしげた。

さらに「日本って、狂っていますよね。なぜ、司法界は誤りを正せないのでしょうか? 司法試験に合格した皆さんが、なぜ当たり前のことを当たり前にしないで、生きていられるのでしょうか? 納得できません」と声を大にした。その上で「私は来年3月に、冤罪被害者の会を作ることを決心しました。被害者の声を集めて、日本に当たり前の司法を取り戻すために頑張ろうと思います。袴田さんを6月11日に有罪にしたことが、決定的に日本を正しい道に導く日になったとするために頑張りましょう。こんな理不尽なことを許したままで日本がいいわけはない。明るく、楽しく…明日は我々のものです」と決意を語った。

また、90年に栃木県で行方不明になった女児の遺体が発見された「足利事件」の容疑者として逮捕・起訴されたものの、09年のDNA鑑定で冤罪が明らかになり、再審で翌10年に無罪となった菅家利和さん(72)も街頭で警察、検察への怒りを声を大にして訴えた。

菅家さん 袴田さんの応援に来ましたけど…私は警察、検察は絶対に許さない! 無実の人を犯人に仕立てる。無実の証拠を調べない…そんなの絶対に許せませんよ。足利事件で当時、私を調べた刑事2人は「やっぱり、お前は犯人だ」と話を聞いてくれなかった。その刑事たちは今(普通に)暮らしているそうです。そんなばか野郎、私は許せませんよ。日本の司法は今こそ、変えるべきです。無実の人が、みんな苦しんでいる。

さらに、95年に大阪市で発生した火災で娘が死亡した「東住吉事件」で逮捕、起訴されたが再審の結果、16年に無罪を勝ち取った青木恵子さん(54)も袴田さんの支援を訴えた。

青木さん 私は、わけも分からず逮捕、起訴され、21年ぶりに社会に帰ることが出来た。袴田さんの再審開始決定の映像を獄中のテレビで見て、本当に感動して涙が出て、次は私の番だと思った。最高裁で絶対に勝たないと、また袴田さんは死刑囚として獄中に入れられる。そんな、むごいことはない。警察、検察は自分たちのメンツじゃなく、1人の人の人生、命がかかっていることを考え、裁判所も正しい判断を出して欲しい。

3人の訴えに、集会の参加者から拍手や同意の声が起こった。【村上幸将】