安倍晋三首相が厚労省の勤労統計に関する不正に関する集中審議が行われた18日の衆院予算委員会で、再び旧民主党政権を「悪夢」と指摘した。

立憲民主党の逢坂誠二政調会長が「総理にとっては、09年の政権交代は悪夢だったと思うが、過去の総理の悪夢の議論をする余裕はない。今の悪夢の話をしたい」と指摘。これまでに起きた公文書改ざんやモリカケ問題に加え、さまざまな疑惑が浮上している統計不正を「今の悪夢」の例に挙げ、真相解明に向けて資料や議事録を出すよう求めた。

すると、首相は「1点訂正させていただきたい」と述べた上で、「09年に自民党が野党に転落したときのことが悪夢なのではない。悪夢は、その後の民主党政権です」と、皮肉まじりにわざわざ主張。「今より3割も倒産件数が多く、有効求人倍率が半分くらい低かった。それで就職できなかった人にとっては、悪夢だったと思いますよ」「これを(悪夢と)受け止めていないのは、驚きなんだろうなと思います」と述べた。

ただ逢坂氏は、首相の指摘にはほとんど応戦せず、「出てない資料は出してもらえるのか。むだなことを言って、人の質問時間を減らすのはやめてほしい」と反論。「肝心なものを出さないから悪夢が覚めない」と、政府与党の対応を批判した。首相は「資料は委員会から請求があれば、誠意を持って提出するのは当然のことだ」と答えた。

一方、首相はこの日の質疑で、勤労統計の不正問題について「15年間にわたる、誤った処理を、見抜けなかった。責任を重く受け止めている」と述べた上で、「私からは何ら指示をしていない。我々が統計をいじって、政策をよく見せようと考えたというのは、まったく違う。はっきり申し上げておきたい」と述べ、自身や官邸の関与を否定した。

野党側は、アベノミクスの成果を出すために官邸の意向で調査方法の見直しが行われたという「アベノミクス偽装」との立場から、政府の責任を追及した。