東京都で17日、過去最多を大幅に上回る822人の新型コロナウイルス新規感染者が確認された。小池百合子知事は都庁で緊急会見し、「年末年始コロナ特別警報」を発令。会食や帰省の自粛、カウントダウンやイルミネーションなどのイベントでも、自粛や時間短縮を呼びかけた。都の医療提供体制に関する4段階の警戒度は、初めて最高レベルの「逼迫(ひっぱく)している」に。首都東京では、感染爆発による医療崩壊の恐れが現実味を帯びている。

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東京の新規感染者数が前日16日の678人から144人、一気に急増した。2日連続で過去最多。小池知事は会見で「これまで以上に危機感を持つ必要を強く訴えている数字。ウイルスはカレンダーを持っていない。クリスマスであれ年末年始であれ襲ってくる。特別な時期」と強調。「年末年始コロナ特別警報」と真っ赤に表示されたモニターを指さし、語気を強めた。

すでに首都圏3県の知事と共同で、鉄道会社や国に対し、大みそかの終夜運転中止を要請。毎年恒例のカウントダウンやイルミネーション企画などの開催自粛や時間短縮なども求める意向だ。都民には「いつも一緒にいる人と過ごす」「帰省はできるだけ避け、帰省する場合には2週間前から会食を控える」など、具体的なメッセージも示した。酒類を提供する飲食店には引き続き営業時間短縮要請を継続。事業者に向け、休暇の分散取得やテレワーク等の定着も呼び掛けた。

これに先立つ都のモニタリング会議では、東京医師会の猪口正孝副会長が「コロナ感染症患者の医療と、通常医療との両立が困難な状況」と指摘。医療提供体制の警戒を「逼迫(ひっぱく)していると思われる」の最高レベルに、初めて引き上げた。「ほぼ確定的な未来の準備のため」と患者数急増が免れない状況を想定した決断だった。

新規感染者の増加比が現在同様なら、年内に1日1000人を超える。約1%が重症化しており、重症者も今後増える恐れが。病床数は現在の3000から4000床に増やすよう要請しているが、「医療機関は余力を全部使ってしまった。あとは新規陽性者数を減らすしかない」。猪口氏は悲観的な本音も明かした。

国立国際医療研究センター大曲貴夫国際感染症センター長も「爆発的に増加する可能性は十分にある」と言及。医療機関の態勢が手薄となる年末年始を前に、医療崩壊の懸念が現実味を帯びてきた。【鎌田直秀】