早実・清宮幸太郎内野手(3年)が、22日に行われた春季高校野球関東大会の作新学院戦で、高校通算95号本塁打を放った。

 一瞬で右翼席後方の茂みの中に消えた本塁打ボール。これを発見したのは、右翼席で観戦していた栃木県小山市在住の加賀剛さん(37)だった。「今日は仕事が休みだったので、70分かけて車で来ました。ホームランの後は、ボールを探すのに無我夢中でした」と興奮気味に話した。

 月曜日だったが、運動会の振り替え休日で球場にやってきた子どもたちも多くいた。ボールが茂みに飛び込むやいなや、子供たちや報道陣も含めたホームランボールの大捜索が開始された。すると本塁打から約10分後、加賀さんが「あった!」と声を上げ、ボールを持った右手を誇らしげに突き上げた。

 加賀さんは報道陣から取材を受けると、その後は自身のスマートフォンを使ってボールのフォトセッション。いろんな角度からボールを撮影すると「清宮君にちゃんと届くなら」と名残惜しそうに関係者へボールを手渡した。

 佐野高校で野球部に所属し、「1番三塁」などで活躍していた加賀さん。高校通算本塁打は3年春の練習試合で左翼に放った1本という。

 「(清宮は)もうあと少しで100号。たくさん打っていてすごい。松井、イチローに次ぐ、メジャーで通用するスラッガーになってほしい」と笑顔で話した。

 清宮が放ち続ける本塁打1本1本には、多くの人の夢と希望が詰まっている。【赤津亮太】