NHKは16日、2019年の大河ドラマが、五輪を題材にした企画に決まったと発表した。脚本は連続テレビ小説「あまちゃん」の宮藤官九郎氏(46)が書き下ろす。東京が主な舞台となる群像劇で、タイトルや出演者は未定。

 異色の大河ドラマは、東京五輪開催の前年2019年に放送される。近現代史を取り上げるのは1986年(昭61)に三田佳子(75)が主演し、戦後を描いた「いのち」以来33年ぶり。NHKは「東京五輪を盛り上げ、これを機会に日本の近代史を振り返りたい」と意図を説明した。

 日本が初参加した1912年(大元)のストックホルム五輪から1964年(昭39)の東京五輪までの激動の52年間をスポーツマンたちの姿を通して描く。ストックホルム五輪は男子陸上選手2人が出場したが惨敗した。その後、国際大会参加への取り組みを本格化させ、1936年(昭11)のベルリン五輪は前畑秀子さんの水泳女子200メートル平泳ぎの金メダルなどメダルを多数獲得するスポーツ大国に急成長した。ドラマでは、太平洋戦争を挟み、東京五輪までの歴史の泣き笑いを描く。

 宮藤氏は「戦争と政治と景気に振り回された人々の群像劇。歴史に動かされた人と町の変遷を1年かけてじっくり描く予定」とコメント。初挑戦となる大河ドラマの脚本については、歴史にあまり興味がなかったことなどから当初「自分には大河は無理と思っていた」というが、NHK側の説得もあり「だんだんその気になり、考えたのが『東京』と『オリンピック』の物語」だった。「こんな大河もたまにはいいよね、と大目にみてもらえたら幸い」と話している。

 タイトルやモデルとなる人物ら主人公も未定。NHKは「実在、架空を含めて何人かを考えている。主人公が途中でリレーする可能性もある」。16日に会見したNHK木田幸紀放送総局長は、スポーツ選手が主人公となる可能性については「五輪に出場した人やその周辺の人を含め、関わったさまざまな人が登場する予定。そういう方々も考えている」。制作統括ら主要制作陣も「あまちゃん」と同じスタッフが担当する。同局は「明治から昭和にかけての時代と人々が今までにない形で描かれるのではないか」と期待している。