<J1:徳島0-5鹿島>◇第26節◇27日◇鳴門大塚

 鹿島のブラジル生まれの高卒ルーキー、MFカイオ(20)が規格外の先制ミドル弾でチームを2位浮上に導いた。前半39分、ゴールまで約30メートルの位置で相手DFのクリアボールを拾い、右足を一振り。GKから逃げながら無回転で落ちる一撃がゴールに決まった。

 「得点がなかったし、狙っていた。アウトサイド(足の甲の外側)で蹴った。蹴った瞬間に入ると思った」。流ちょうな日本語でその瞬間を振り返った。後半13分には、MF遠藤のCKを頭で合わせて2点目。同14分には遠藤のゴールをアシストした。

 11年4月に来日し、千葉国際高に入学。3年間の高校生活を経て、流ちょうな日本語を操る。昨オフに知人の紹介で鹿島に練習参加し、才能が認められ入団。既にリーグ戦20戦連続先発で、この日の2点でリーグ戦の得点を6まで伸ばし、不動のレギュラーだ。

 ブラジル代表も諦めていないが、日本国籍を取得して日本代表になる夢も持つ。既にブラジルの家族とも相談しており「まだ分からないけど、日本代表に呼ばれたら考えますし、(国籍を)変えると思います」とキッパリ。国籍取得の最低条件となる5年間の日本居住歴も16年春には到達する見込みだ。手続きに時間がかかるため、16年夏のリオデジャネイロ五輪は難しいが、18年ロシアW杯を目指すアギーレジャパンの「隠し玉」になるはずだ。

 「もっと、これから得点を決めていきたいです!」。チームは2位に浮上し、首位浦和との勝ち点差は4。まずは名門鹿島の一員として、逆転優勝へ結果を残し続ける。【菅家大輔】

 ◆カイオ

 本名カイオ・ルーカス・フェルナンデス。1994年4月19日、ブラジル・サンパウロ生まれ。サッカー留学で来日し、11年4月に千葉国際高に入学。今季、C契約で鹿島入団。3月15日の鳥栖戦でデビュー、4月6日のG大阪戦で初ゴール。173センチ、69キロ。

 ◆日本国籍を取得したブラジル出身の代表選手

 ラモス瑠偉、呂比須ワグナー、三都主アレサンドロ、田中マルクス闘莉王が有名。ラモスは77年に来日し、89年11月に取得。代表の司令塔として活躍した。呂比須は87年に来日。97年9月に取得し、98年のW杯に出場。三都主は94年から明徳義塾にサッカー留学。01年11月に取得し、W杯に02、06年と2大会連続で出場。闘莉王は98年に渋谷幕張サッカー部に入部。03年10月に取得し、10年W杯で日本の16強進出に貢献した。なお、国籍取得の条件には、申請をする時まで、引き続き5年以上日本に住んでいることが必要とされる。