【第163回】
欧米では半数以上
脳動脈瘤のコイル塞栓術(上)
突然死の最大原因の1つといわれているのが脳卒中の中の「くも膜下出血」。脳動脈瘤(りゅう)が破裂すると、くも膜下出血で、日本では毎年人口1万人あたり1・5人から2人に起きている。
そのくも膜下出血、そして、未破裂動脈瘤の予防治療の中心は「クリッピング法」。開頭して脳動脈瘤の根元に、チタン製の特殊なクリップでクリッピングする治療法である。
この治療法のほかに、より体にやさしい治療が注目を集めてきている。その治療とは血管内治療の「コイル塞栓(そくせん)術」。「90年に米国のUCLAで開発され、15年の歴史があります。日本では97年から始まり、約8年の歴史です」と言うのは、日本のコイル塞栓術のリーダーである神戸市立中央市民病院(神戸市中央区)脳神経外科、脳卒中センターの坂井信幸部長(49)。「すべてエックス線透視下で行われ、未破裂の場合は局所麻酔で、破裂しているときは全身麻酔で行います」。
脚の付け根の動脈からカテーテル(細い管)を入れ、首の頚(けい)動脈にまで送る。次に、そのカテーテルの中を通してより細いマイクロカテーテルを動脈瘤にまで送る。そして、マイクロカテーテルからプラチナ製のコイルを動脈瘤に入れる。プラチナコイルは形状記憶なので、瘤(こぶ)の中でくるくると丸くなる。瘤をコイルで埋めると血液が入らなくなり、破裂を抑えられるのである。
体にやさしいコイル塞栓術だが、今、日本ではクリッピング術85%に対し、コイル塞栓術は15%しか行われていない。米国では50%、ヨーロッパでは70%もコイル塞栓術が行われている。「患者さんに対してクリッピング術とコイル塞栓術がしっかり選択できるような状況にしていかねば、と思っています」と、坂井部長は希望を語った。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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