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“おいちゃん”下條正巳さん逝く

93年、男はつらいよ「寅次郎の縁談」に出演の下條正巳さん(左奥)。右奥は渥美清さん

 映画「男はつらいよ」シリーズのおいちゃん役で親しまれたベテラン俳優下条正巳(しもじょう・まさみ)さんが04年7月25日午後3時55分、すい臓がんのため都内の自宅で亡くなったことが28日、分かった。88歳。74年の14作目から95年の最終作(48作目)まで、故渥美清さん演じる寅さんを厳しく見守る「くるまや」の頑固者の叔父役で出演した。長男の俳優下条アトム(57)はファンらに対し「おいちゃんに代わりまして心より御礼申し上げます」とコメントした。遺志で、密葬は家族で済ませた。

 下条さんは昨年10月に体調が悪化し、すい臓にがんが見つかった。今年に入ってから検査入院を繰り返し、5月1日には順天堂病院で手術した。その後、本人が自宅での治療を希望。6月18日から自宅で往診医による医療介護に切り替え、在宅38日目の25日、妻の嘉子(よしこ)さん、アトムら家族にみとられて、息を引き取った。

 アトムはファクスで「在宅での38日間は、家族にとっても、父にとっても濃密な時間を過すことができたと思っております。60余年にわたり、自らに厳しく、真っ直ぐな人生をまっとうできましたのも、ともに舞台を創った仲間の皆様、映画・テレビ・ラジオなどを通じ、お世話になりました制作スタッフ・キャストの皆々様、そして何よりも陰で支えてくださったファンの皆様のご厚情のたまものと、父、おいちゃんに代わりまして心より御礼申上げます」とコメントした。

 下条さんは劇団民芸などで舞台俳優として幅広く活動したが、代表作は74年の「男はつらいよ」シリーズ第14作「寅次郎子守唄」から出演した「おいちゃん」役だった。初代の故森川信さん、2代目松村達雄に続き、車寅次郎の叔父・車竜造役を務め、シリーズ最終作となった95年の48作「寅次郎紅の花」まで出演した。毎度ふらりと舞い戻る寅さんにあきれながら、温かく見守る役どころで、おばちゃん役の三崎千恵子と並び、シリーズに欠かせない名脇役だった。

 96年の渥美さんの死後は、山田洋次監督の映画「虹をつかむ男」やアニメで声の出演などをしたが、00年以降はほとんど仕事はしていなかった。

写真=93年、男はつらいよ「寅次郎の縁談」に出演の下條正巳さん(左奥)。右奥は渥美清さん


◆下條正巳(しもじょう・まさみ)
 1915年(大正4年)8月26日、長崎県生まれ。釜山第一第一商業を卒業後、36年に新協劇団に入団。51年に民芸に移り、71年にフリーに。映画、テレビで幅広く活躍。主な映画は「キネマの天地」「キッズ・リターン」など。元女優の嘉子夫人と1男1女。
 自宅住所は未公表。連絡先は東京都港区赤坂7の10の8、大高薬局ビル3階、オフィストーク。喪主は妻嘉子さん。


「古武士のような方」

 山田洋次監督(72) 頑固者のおいちゃんを演じてもらいました。実直、誠実、寡黙、凛(りん)とした、古武士のような生き方を貫いた人です。寅さんの身内がまた1人、この世を去ってしまったことを、心から寂しく思います。

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