瀬戸大也(27=TEAM DAIYA)と萩野公介(26=ブリヂストン)は、ともにメダルを逃した。瀬戸は1分56秒22の4位で、表彰台までわずか0秒05差。萩野は1分57秒49で6位だった。

16年リオデジャネイロ五輪400メートル個人メドレーで実現したダブル表彰台はならずも、ともに「幸せ」を口にした。瀬戸は日本代表に入る限り現役続行の方針。萩野は次のレースの予定はなく、今後は休養に入る。

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最後の2メートルで差された。瀬戸は、タッチ差で銅メダルは逃した。「メダルを持って帰ることがすごく大切だし、それに勝るものは何もないが、やれることはやった。スッキリしています」と潔く言った。東京は3種目でメダルなしも「これが最後じゃない。パリ五輪まで3年間ある」とした。

ジェットコースターのような日々だった。昨春に五輪延期が決まり「4年に1度が崩れて、これでは世界選手権じゃないか」と失望。埼玉県の実家で普段は見ないリオ五輪の銅メダルを手に取った。「五輪って何だろう」。自宅に簡易プールを作って泳ぐ動画をSNSに掲載。しかし実際は「2、3回しか使ってない。子どもが水遊びに使った方が多い」。約8カ月間も本格的に泳ぐことはなかった。

昨秋には女性問題で活動停止処分になった。自宅に帰るたびに、まだ事情をのみ込めない子どもたちに「パパ、パパ」「遊んで」とせがまれた。仲良く映った家族写真を見て「ああ、あのころに戻りたい」と涙が出た。何度も。「本当に自分勝手だった。オレさえよければすべていいと。錯覚を起こして裸の王様だった」。優佳夫人から「サポートする」と言われ、救われた。「家族に胸を張って生きている姿を見せたい」。

準備に自信を持って臨んだ今大会も2種目で敗退。戦略ミスと力みが原因だった。昨春にコンビを解消した梅原コーチに指導されてV字回復も0秒05及ばず。梅原コーチは、その差を「根性ですかね」と言った。

家族にメダルを持ちかえることはできなかった。「今回結果を出せなかったことで、パリまでの3年間は非常に苦しい生活になるとは思うが、食らいついて生きていきたい」。一時は東京五輪後の進退を保留していたが、今は違う。「代表落ちするまで、挑戦し続けたい。24年パリ五輪も、28年ロサンゼルス五輪も、その先も」。【益田一弘】