FIFAは何をやってるんだろうー。16日のインファンティノ会長の発表を知って、驚くよりもあきれた。次回26年大会の方式を再検討するというのだ。現在の参加32チームを48チームに増やすことは決定済み。3チームずつ16組の1次リーグを見直すというのだ。

もともと無理のある拡大だった。3チームでリーグ戦を行えば、日程面で不公平が生じる。最後の試合が「談合」になる可能性もある。会長が言うように4チームずつ12組に分ければ、決勝トーナメント進出チームの選び方が問題になる。

過去は、大会方式が目まぐるしく変わった。全試合トーナメントもあれば、リーグ戦のみで優勝を争ったこともある。2次リーグが行われた大会もあった。そのたびに「公平さ」が問題になり、方式に修正を加えていくことになった。

現行の1次リーグ後16チームの決勝トーナメントとなったのは、86年メキシコ大会から。当時は参加24チームでリーグ戦3位でも突破の可能性があることから「公平さ」を欠いていた。

98年フランス大会からは参加が32チームに増え、1次リーグ2位以内が突破になった。以来今大会まで7大会連続変わらず。過去、これだけ長い間に同じ方式だったことはない。このやり方が、いかに「公平」で優れていたかの証拠だ。

もっとも、今回のFIFAの決定は「拡大」ありきだった。発表された16組の1次リーグには現場からもファンからも反対の声が出ていた。さらに、ここにきて迷走する始末だ。

狙いは試合数増加による放送権料などの収益拡大にある。アジア枠も、ほぼ倍増。W杯最大のスポンサーでもある中国(企業)に出場してほしいという思いも見え隠れする。

もちろん「より多くの国を参加させたい」という大義もある。確かに、日本はアジア枠が2から3・5に増えた98年大会で初出場した。最初は恩恵にあずかった形だが、W杯は日本国民に浸透し、代表は優勝経験国に勝つほどに成長した。

アジアやアフリカの枠を増やして32チームにした時は「レベルが下がる」「大差が増える」と危惧する声もあった。しかし、今大会ではアジア3チームが決勝トーナメントに進出、アフリカのモロッコはベスト4に入った。32への拡大効果は、確かに出ている。

それでも、48チームは大会方式の「公平さ」という意味で無理がある。選手を供給するクラブの立場になれば、これ以上試合数を増やしたり、期間延長は難しい。どう考えても、いい大会方式は見つからない。

メッシ、ロナウドらにとって最後の大会。モドリッチやネイマールらもW杯ではもう見られないかもしれない。間違いなく、今大会で1つの時代が終わる。いったい、W杯はどこに行ってしまうのだろう。【荻島弘一】(ニッカンスポーツ・コム/記者コラム「OGGIの毎日がW杯」)