疲れる試合だったな。相手はGKの退場もあり、後半の早い時間帯に足が止まった。
勝つのは時間の問題だったけれど、時間がかかりすぎたね。相手はゴール前の中央を大人数で固めた。その分、サイドが空いて、日本は右サイドを効率よく崩した。でも結局はクロスを上げるんだね。それなら崩す必要ないだろう。単純に右から放り込むのと変わらないからね。
後半4分にセットプレーから1度逆転を許した。相手FKに対してラインを高くしてゾーンで守ったが、選手と選手の間に正確なボールを入れられた。実はこれはすごく深刻な問題で、今後深く考えて改善しないといけない。相手のクロスに対して、日本は下がりながらのヘディングになり、相手は前に勢いよく走り込みながらのヘディングになる。これじゃ、競り負けるのは当たり前だ。
この日の2失点、韓国戦の失点と、今大会の3失点ともヘディングでやられた。韓国戦ではみんながボールウォッチャーになっていて、逆サイドの相手をフリーにしていたし、カタール戦では2失点とも競り負けた。空中戦でこれだけ失点するチームが、パリ五輪へ王手をかけたこと自体、不思議なもんだ。
この大会は、なんだか毎試合何かが起きるね。苦労して苦労してここまできた。アジアのレベルが、少しずつ上がっているからだろう。なのに、日本は足止め状態だ。差がどんどん縮まってきている。8大会連続の五輪出場へ、あと1勝に迫った。なんとかパリに行ってほしいが、次からはもっと苦しむかもしれないね。(日刊スポーツ評論家)