<サッカーaiコラム:選手権のHEROたち>

 6月の関東大会では強豪を破って初めて王者となった山梨学院大附。夏の高校総体では県予選で日本航空に敗れて悔しい思いを味わったものの、選手権では圧倒的な強さを見せて、県大会を勝ち抜きました。3年のMF碓井鉄平、MF平塚拓真を軸とする攻撃陣がチームを支えていますが、今回注目したのは2年生ながらレギュラーとして活躍しているFW加部未蘭。U-18日本代表候補にも選ばれた背番号「11」の存在は大きく、その突破力はもちろん、186センチの長身をいかしたセットプレーや、キック、シュートは相手に脅威を与えています。

 

 選手権の山梨県大会では、6月に負傷した右足甲の疲労骨折で準々決勝まで出場することができませんでしたが、準決勝の韮崎戦で待望の復帰。前半23分には先制ゴールを挙げ、その後、チームメートが追加点を決め3-0で勝利。きっちりとFWとしての役割を果たしました。今回のケガを通して、「サッカーがやりたいという気持ちが以前にも増して強くなったし、もっとサッカーに真剣に取り組むことができるようになった」と加部。ケガによる初めての長期離脱を経験し、壁を乗り越え、またひと回り成長することができたといいます。決勝の日本航空戦でも、「絶対に負けられない」という強い気持ちで臨んだ結果、ゴールこそありませんでしたが、1点先制されても焦ることなく、献身的な働きを見せ、2アシストの活躍。チームとしても、そして個人としても初となる、選手権出場権を獲得しました。

 そんな憧れの舞台では「まずは何よりもチームが勝つことが最優先。相手がどうこうじゃなくて、ピッチ上で山梨学院大附のサッカーができるということが一番大事」と、あくまでも“個”ではなく“チーム”としての結果にこだわります。

 開幕を目前にしても「自分はあまり緊張しないし、プレッシャーを感じないタイプ」と、頼もしい言葉。初出場ながらも、すでに大暴れの予感が漂っています。

 C・ロナウド(Rマドリード)のドリブルや、イブラヒモビッチ(バルセロナ)のようなファンタジーあふれるプレーにあこがれ、将来は「こいつは面白い選手だなと思ってもらえる選手になりたい」という加部の願いは、共に闘ってきた仲間とともに“優勝”を勝ち取ることです。(サッカーai編集部・石井宏美)