<アジア大会・サッカー:日本0-0中国>◇女子1次リーグB組◇15日◇韓国・南洞ラグビー場

 なでしこジャパン(FIFAランキング3位)の来年の女子W杯に向けたテストは不発だった。1次リーグ初戦で中国(同13位)と引き分け。13日の国際親善試合ガーナ戦(山形)から中1日で難敵と対戦し、疲労の中で勝ち切れなかった。国際大会初先発のFW増矢理花(19=INAC神戸)とDF臼井理恵(24=浦和)は不完全燃焼の内容に終わった。18日の第2戦はヨルダンと対戦する。

 手倉森ジャパンに続く白星発進は、なでしこジャパンの現状では難しかった。13日のガーナ戦では5点を奪ったが、8連勝中だった中国を仕留め切れない。国際線移動を含む中1日の日程で、体が重かった。アジアの難敵相手に最後までゴールを割れず、新戦力が頭角を現すことはなかった。

 苦戦の裏には2つの狙いがあった。1つは新戦力の発掘と控え組の底上げ。MF澤らベテラン組と拘束力のないFW大儀見ら海外組がいない中、連覇を目指す来年のW杯カナダ大会に向けた強化だった。佐々木則夫監督(56)は、前日14日に19歳となったFW増矢と、24歳の俊足DF臼井を国際大会に初先発させた。増矢は後半10分に惜しい左足ミドルを放ったが、後半32分に交代。「シュートの場面は良かったけど、自己採点は50点。緊張で戸惑った」。臼井も消極的なプレーが目立ち、バックパスした際に宮間主将から「簡単に下げるな」と怒られる場面もあった。

 もう1つが過密日程の予行演習だった。13日に山形でガーナと対戦し、試合前日の14日午後に仙台経由で仁川入り。選手村での散歩しかできない中でキックオフを迎えた。来年のW杯も日程の間隔が短く、移動と試合を繰り返す強行軍が予想される。あえて苦しい状況に置いた指揮官は、中国との肉弾戦を振り返り「逆に(運動量とプレーの質が)落ちたのはうちだった。非常に勉強になった」。白星発進という目に見える成果は出なかったが、長期的視野での収穫を強調した。

 日本は前回大会も、今年5月のアジア杯も制している。正真正銘のアジア女王だが、疲労がたまり、メンバーが落ちると貫禄を見せられないことが分かった。その中で「増矢は前を向いて仕掛けていたし、意欲的なミス。臼井も自信を持つことでフィードの精度が高まれば。この大会を通して進化する要素は持っていると思いましたね」と佐々木監督。糧にできれば、この引き分けにも意味が出る。【木下淳】

 ◆決勝トーナメント進出条件

 1次リーグは11の国と地域がA~Cの3組に分かれて総当たり。各組2位以上+3位の成績上位2チームが26日の準々決勝に進む。女子は年齢制限なし。決勝は10月1日。