ゴールまでの道筋を一瞬にして見極めた。後半35分、カウンターでFW大迫のパスを受けたMF柴崎岳(22=鹿島)が、飛び出してきたGKをあざ笑うかのように右足を一振り。ゴールまで42メートルの地点から放たれたシュートはゆっくりとした放物線を描き、ゴールネットを揺らした。

 相手にとどめを刺した一撃は、珍しい超ロングシュート。歓喜の輪の中で笑みを浮かべた22歳は、試合後は打って変わって「GKは見えていたので、かわそうとも思ったんですけど。オカさん(岡崎)のアシストもあったので」と冷静にゴールを振り返った。

 本職のボランチではなく、トップ下で途中出場。ミーティングでは、ハリルホジッチ監督からトップ下での起用を示唆されており「トップ下でもボランチでもやれる自信があるし、アイデアもある」。時間がたつにつれタッチ数も増え、後半45分にはCKから川又のゴールを演出した。

 長らく日本代表の柱だった遠藤(G大阪)の「7」を背負う男は、この程度では満足しない。「もっと自分のレベルを上げないと。僕にはまだやるべきことがある。今日の収穫は監督のやりたいサッカーを直に体感できたこと」。代表の大黒柱となるべく進化を続ける。【菅家大輔】

 ▼長距離ゴール 柴崎のゴール距離は42メートル。代表の国際Aマッチで、40メートル以上のゴールは、MF小笠原満男(鹿島)が06年2月18日の親善試合フィンランド戦(静岡)で57メートル弾をマークして以来。小笠原は後半12分にハーフウエーライン手前の自陣から右足で超ロングシュートを決めた。今回の柴崎の42メートル弾は、02年以降では小笠原の57メートルに次ぐ2番目の長距離ゴール。