GK福元美穂(31=岡山湯郷)は、昨年末に「事故」にあった。14年12月6日、国際女子クラブ選手権3位決定戦(東京・味フィ西)で、顔面を負傷した。ピッチ内に救急車が到着後も約30分動けなかった。顔が腫れ、検査すらできない状況。最終的には所属する岡山湯郷の地元、岡山大病院に入院して検査、診断を受けた。幸い脳には異常がなかった。

 入団後から父親的存在の黒田和則GM(69)がこう振り返る。「声も掛けられん状態やった。サッカーを続けてもいいって聞けた時はホッとした。強運やな。実力があるから運がついてくる。『この子は才能があるからケガでつぶしちゃいけない』っていう天の声というか神の声がかかったんじゃないかなあ」。

 前回11年のドイツ大会で先発を外れた悔しさは忘れない。12年ロンドン五輪では先発の座を奪い返して銀メダルに貢献。準決勝フランス戦で27本のシュートを1失点に防ぎ、佐々木監督から「小さな福元選手が神様に見えた」と絶賛された。「つらい時に福ちゃんを支えたのは(宮間)あや」(同GM)。岡山湯郷創設時の01年からの親友。ドイツでは同部屋で励まされ、ロンドンでは主将として悩む宮間を散歩に誘って元気づけた。今回も復帰に向け、身の回りのサポートをしてくれたのが宮間だった。

 2人で活躍して世界の頂点に立つ夢を成就する時が来た。逆境を乗り越えて強くなった「福の神」が、カナダのピッチに舞い降りる。【鎌田直秀】