DF佐藤和樹(22=名古屋)が異例の“就活合宿”に挑む。追加招集された佐藤が24日、神奈川・平塚で行われているU-22(22歳以下)日本代表候補合宿に合流した。追加招集が決まった23日、名古屋は佐藤と来季の契約を結ばないと発表。現在、本人の元に具体的なオファーの話は届いておらず、合宿で猛アピールして新たな所属先を見つける。

 1人だけ覚悟が違った。まさに就職活動となる合宿。佐藤は「左利きの左サイドバックは貴重かな。クロスなど攻撃的です」と自己アピールした。26日の湘南とのトレーニングマッチにはクラブの強化担当も多く視察に訪れる。「どこか拾ってくれないかな」とぼやいた後に「自分が選べるぐらいのプレーをしたい」と闘志をみなぎらせた。

 まさに捨てる神あれば、拾う神あり。今季、名古屋ではファーストステージ出場は1試合9分だけ。セカンドステージでは出番がなかった。1週間前、契約満了と通達された。「寝ることもできないぐらいショックでした」。だが、幸運にも追加招集で、絶好のアピールの場が舞い込んできた。「ポジティブにチャンス」と燃えている。

 去年6月以来となる代表復帰すべく、準備はしていた。「フィジカルは苦手。体を大きくしよう」と自己分析。手倉森監督が「高さとフィジカルのあるサイドバックを求めている」と知り、昨年から筋力強化に励んだ。体重は66キロから70キロになり「クロスの力強さも出て、難しい体勢からでも上げられる。当たりも強くなった」。まさに手倉森ジャパンが求める人材になった。人事権を持つ手倉森監督も「サッカー選手として満了したわけでない。チャンスを広げられれば。可能性がある」と期待する。

 代表と所属チームのダブル内定を目指す。「見返したい。もっともっとうまくなりたい。しっかりアピールして、最後に残りたい」。反骨心でステップアップを遂げる。【上田悠太】

 ◆佐藤和樹(さとう・かずき)1993年(平5)5月18日、名古屋市生まれ。小学生から名古屋一筋で三好スクール、U15、U18を経て12年トップ昇格。14年5月3日C大阪戦で初出場。J1通算4試合無得点。世代別代表はU-18~22まで毎年選出、昨季からJ3のU-22選抜で経験を積んだ。好きな食べ物はサーモンとハヤシライス。手は両利きで足は左利き。血液型A。