日本協会と浦和は23日、浦和FW興梠慎三(29)がリオデジャネイロ五輪に出場するU-23(23歳以下)日本代表に、オーバーエージ(OA)枠で加わると発表した。興梠はリストアップされた当初は、リーグ優勝を目指すクラブを優先したいという意向を持っていたが、手倉森誠監督(48)の熱いラブコールに心が動き、代表入りを決断した。

 OA枠の3人は今月10日のU-23代表スタッフ会議で興梠、藤春、塩谷に絞り込まれた。手倉森監督は前日にブラジル視察から帰国。トゥーロン国際も含め、28日間に及んだ海外出張から戻ってきたばかりだったが、関係者によると、その足で埼玉県内に向かったという。それまでに1度、断りを入れられていた“本命”の真意を確かめるため、クラブの了承を得た上で極秘会談。熱意をぶつけ口説き落とした。

 個人合意はした上で翌10日の会議後、協会の霜田技術委員が3人の所属クラブに連絡。第1ステージ優勝の可能性を残していた浦和だけ「月末まで待てないか」と相談があった。保留した間に3連敗したが、東京戦で連敗を止めて最悪の事態を脱したことで、興梠を供出できる状況になった。

 4月22日、手倉森監督はA代表のハリルホジッチ監督と会った上で選考を本格化。5月26日までに最終候補を興梠、大久保、大迫、清武、藤春、塩谷の6人に絞った。清武はキリン杯の最中に霜田氏が感触を確かめたが、セビリア移籍が決まったため断念。大迫も同氏の人脈で意思確認まで進んだが、進展しなかった。

 最後は予備登録35人に大久保を残すか議論された。川崎Fから「第1ステージ優勝」の条件付きで容認され、負傷に備え登録を推すスタッフもいたが、3年連続得点王を「4人目=補欠」の形に残すわけにいかず、最大限の敬意で見送られた。【U-23日本代表担当=木下淳】