川崎FのMF中村憲剛(35)が25日、W杯アジア最終予選に臨む日本代表のバックアップメンバーに入った。これまで年齢の壁を口にしてきたハリルホジッチ監督が、緊急事態に備えての切り札に「カワサキの35歳」を指名。国際Aマッチ68試合を誇り、今季6得点と好調を維持するベテランは、「力になりたい」と再び臨戦態勢に入った。

 中村が再び日本代表へのスタートラインに立った。ハリルホジッチ監督は会見で香川、清武を紹介した後「ここのバックアップに実は年齢をいった人を用意しています。カワサキの35歳」と中村を暗に示した。3年連続得点王のFW大久保を「年齢」を理由に招集をしなかった指揮官だが、厳しい最終予選の緊急事態に備え、経験豊富なベテランを指名した。

 練習後、取材に応じた中村は「ずっと圏外だと思ってましたから」と驚き、「その年代にちゃんと見ているぞ、というメッセージだと思う」と気を引き締めた。今季は23試合6得点で年間勝ち点1位のチームを主将としてけん引する。「今年のプレーを評価されていると思いますし、見てくれているとモチベーションも上がる。光栄」と話した。

 10年のW杯南アフリカ大会ではパラグアイ戦のピッチに立った。好機を演出し、自身も得点のチャンスもあったがPK戦の末に敗れた。サッカー人生で一番悔しかった試合の1つ。以来、もう1度、W杯の舞台に立ちたいと胸に秘めてきた。14年のブラジル大会は目前で落選する悔しさも経験した。だが「現役である以上、代表へのこだわりは持ち続けたい」と前を向き、チームでは「年齢に関係なく、サッカーはうまくなる」と技術を磨き続けた。

 35歳にして再び見えたW杯の舞台。「少しでも(代表が)見えた中でやるのとは違う。必要な時が来れば力になりたいですし。いつでもそういう気持ちを持っている」と話した。【岩田千代巳】