サッカーのW杯ロシア大会アジア最終予選のUAE戦、タイ戦で2得点2アシストの日本代表FW久保裕也(23=ヘント)が29日、成田空港からブリュッセルに向けて出発した。サウジアラビアを抜いてB組首位に浮上した日本の新エースは、本田圭佑から定位置を奪った勢いを持続するため、次は日本人欧州1部リーグ最多得点者を目指す。タイ戦から一夜明け、海外組7人が日本を離れた。

 新エース久保が黒の革ジャン姿でさっそうと出国ロビーに姿を見せた。前夜は1得点1アシストで4-0の快勝に貢献。日本時間29日未明のサウジアラビア-イラク戦が1-0だったため、同じ勝ち点16ながら得失点差で日本がサウジアラビアを逆転。初のB組1位浮上を伝え聞き「良かったです。うん、本当に良かった」と白い歯をのぞかせた。

 23日UAE戦と合わせて計5ゴールに絡み、得点を荒稼ぎ。首位浮上の原動力になったが、もう頭は切り替えた。普段より1時間ほど早い出発時刻の約2時間40分前、日本協会関係者に付き添われて空港へ。早くベルギー1部で勝負したい意欲の表れか? 4月2日(日本時間3日)に始まる、レギュラーシーズン上位6クラブによるプレーオフに向けて「今日からクラブに集中します。結果を出し続けないと、次も呼ばれる保証はない」と前日までの喜びを封印した。

 真のエースへ「日本人欧州最多得点者」の称号を狙う。久保は今季の前半戦はスイス・ヤングボーイズで公式戦25試合12得点。1月に移籍したヘントで7戦5発と暴れている。計17点は既に高原、香川に並んでおり、最多ハーフナーの18点まで、あと1点。10試合あるプレーオフで2得点すれば「欧州最多」の勲章を引っ提げ、6月の最終予選イラク戦を迎えられる。

 この日、都内でA代表スタッフ会議を行ったハリルホジッチ監督からは「フィジカルの状態の向上」を宿題とされ、ベルギーで克服していくことを約束したという。搭乗ゲートでは、前回出国時まで1人もいなかったカメラマンのフラッシュを浴びて照れ笑い。注目度と存在価値を高め「エース待遇」で飛び立った。【木下淳】