サッカー女子日本代表監督で東京五輪を率いた高倉麻子氏(53)が退任することが25日、分かった。

契約期間満了によるもので、日本協会は契約延長しない方針を固めた。今月中の女子委員会、技術委員会を経て来月の理事会で正式決定する。東京五輪で8強止まりだったなでしこジャパンは、新体制で23年女子W杯オーストラリア・ニュージーランド大会(同年7月20日~8月20日)出場を目指す。

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東京五輪8強の評価は、高くなかった。日本は1次リーグで1勝1分け1敗の勝ち点4のA組3位で決勝トーナメントに進出した。準々決勝で準優勝したスウェーデンに1-3と屈し、敗退した。1次リーグでは優勝したカナダに1-1で引き分けるなど、強豪相手に善戦したが、高倉監督が望んでいた契約延長には結びつかなかった。

日本協会の幹部は「監督の評価基準は成績に加え、試合内容も重要だが、4試合の内容を分析した時、必ずしも前向きな評価ではなかった。組織的な守りからの切り替えがうまくいかなかったと判断している」と話した。女子代表を5年間任せたが、視察部隊から挙がった報告には「なでしこ本来の粘り強さ、緊密な連係、仲間の信頼から生まれる化学反応を引き上げることができなかった」と厳しい評価だった。

高倉監督は5年間、パスワークを重視し、技術にたけた選手を中心にチームづくりをしてきた。パスセンスやドリブル能力など、攻撃力の高い選手を重宝し、強豪相手にも互角に攻め合うチームをつくった。半面、守備でハードワークできる選手は徐々に代表から名前が消えた。東京五輪では肝心な守備に穴が開き、攻撃力を生かすことができず、目標だったメダル獲得に失敗した。

後任は、フィジカルを重視する女子U-20代表の池田太監督(50)を中心に人選を進める。なでしこは、10月と11月に国際マッチデー(IMD)が設定されており、最大で4試合の親善試合が組める。その後、来年1月にはW杯予選を兼ねたアジア杯がインドで開催される。新型コロナウイルスの影響で大会が延期されることは考えられるが、いずれにしても後任監督の人選には長い時間をかけられないため、現なでしこコーチの今泉守正コーチ(60)も含め、9月中には選定作業が終了する可能性が高い。

◆高倉麻子(たかくら・あさこ)1968年(昭43)4月19日、福島市生まれ。攻撃的MFで読売ベレーザ、米シリコンバレー・レッドデビルズなどに所属。女子日本代表で91年世界選手権、95年W杯、96年アトランタ五輪に出場。国際Aマッチ79試合30得点。04年に引退。16年4月になでしこジャパン監督に就任。