日本サッカー協会が次期日本代表監督候補を3人に絞り込んだことが2日、分かった。この日、小倉純二会長(71)が、交渉に当たっている原博実強化担当技術委員長と会談し、現役時代に世界最高のFWといわれオランダ代表監督を務めたマルコ・ファンバステン氏(45=オランダ)、FCポルトを率いて04年トヨタ杯を制したビクトル・フェルナンデス氏(49=スペイン)、スペインリーグで実績を上げたエルネスト・バルベルデ氏(46=スペイン)を候補者とした。近日中に条件交渉のため原委員長が再渡欧、8月中旬までに契約完了を目指す。

 2014年W杯ブラジル大会を託す監督候補が3人に絞られた。小倉会長は具体的な名前こそ明かさなかったが、「3人のうち1人は知らない。2人は知っている。いずれも素晴らしい方ばかり」と説明した。7月25日に犬飼前会長の後を受け新会長に就任したばかり。水面下で進められた後任人事の流れを知らないだけに、率直にそして簡潔に候補者のイメージを言葉にした。さらに「原委員長には早く蒸発してもらいたい」と言い、即刻渡航させ、8月14日か15日までに正式契約を終わらせるよう指示を出した。

 原委員長は7月22日に極秘で南米のチリとアルゼンチンを回った。元アルゼンチン代表監督のペケルマン氏サイドとも交渉。同氏は3人候補者が不調に終わった際のバックアップとして、現在もリストに残している。候補の1人に挙がっていたチリ代表監督のビエルサ氏はチリ協会と契約間近と報じられている。

 その後、欧州でファンバステン氏、フェルナンデス氏、バルベルデ氏の代理人、関係者と立て続けに接触してきた。7月31日に帰国し、1日に都内で大仁技術委員会本部長と話し合い、この日、最終判断を求めて小倉会長と会談した。

 日本協会は代表監督の年俸、スタッフ年俸、住居など諸経費を含めた費用総額を、元日本代表監督ジーコ時代の約5億円と設定。しかし、ファンバステン氏とフェルナンデス氏は予算をオーバー。予算内のバルベルデ氏を含めた3者からの選択を迫られている。

 ファンバステン氏は世界的なプレーヤーとして、いまだ日本にも多くのファンがいる。06年W杯ドイツ大会ではオランダ代表を率いて16強に進出した実績もある。同氏が代表監督を引き受ければ観客動員、視聴率で大きな効果が計算でき、9月4日の親善試合パラグアイ代表戦(首都圏)、7日グアテマラ代表戦(関西圏)は超満員が期待される。興行的な魅力は計り知れない。

 フェルナンデス氏もトヨタ杯を制して世界王者のタイトルを獲得した実績がある。新生日本代表のフレッシュなスタートにふさわしい。バルベルデ氏は知名度では2人に及ばないものの、欧州複数クラブで実績を残し、世代交代が進む日本代表に新しい可能性を吹き込む期待感がある。

 いずれも40代後半の若き指導者ばかり。原委員長は、代表監督の理想像に、人格者で、攻撃的サッカーを実践し、育成にたけた人物としてきた。人気のファンバステン氏、実績のフェルナンデス氏、将来性のバルベルデ氏。いずれ劣らぬ有望監督だけに、原委員長の交渉にすべてがかかる。