日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(57)が、不休の視察行脚で日本を強化する。原博実強化担当技術委員長(51)は9日、11月に同監督がリーグ戦とU-21代表が出場するアジア大会(中国・広州)を掛け持ち視察する計画を明言。12月中旬以降に予定される日本代表強化合宿、3位以上を目指すアジア杯(1月7日開幕、カタール)を含め、年末年始も返上。この日、イタリアに一時帰国し、17日に再来日予定のイタリア人指揮官が日本のために心血を注ぐ。

 国内外問わず、西へ東へ-。ザッケローニ監督が視察行脚で日本を磨き上げる。機上の人となったこの日「この10日間、いろいろ勉強でき、順調に経験できた。日本協会のサポートもあって、これからいい仕事ができると思う」と話す笑顔の先には、不休の監督業を務める覚悟があった。

 新監督の口癖は「できるだけ多くの選手を見たい」。その言葉を体現すべく、自らの足を使う。特に11月は、アジア大会(同7~26日)と同時期のリーグ戦5試合を掛け持ち視察する予定だ。原技術委員長は「Jリーグもあるし、アジア大会で見る試合を定めれば、日本と中国は近いし、移動もできる」と説明した。

 アジア大会の代表メンバーはJリーグの優勝、昇格、残留争いに絡まないクラブの選手や大学生が中心の見込みだが、普段目につかない若手発掘の好機会。3位以上を目指すアジア杯は欧州組の招集が難しい。少しでも有力な選手を発掘したい。選手層の上積みをしたい。その思いが視察行脚に表れた。

 9月17日にスタッフ4人とともに再来日予定で、直後からJリーグと各クラブの練習巡回をスタート。10月には親善試合2試合、11月は日中間視察、12月に計画される代表強化合宿、そして年始は大会直前合宿とアジア杯本番。日本協会関係者は「年末年始も休めないのでは」と話す過密ぶりだ。それでも「日本にはいいグループ、いい選手がいるので、これからを楽しみにしてください」と、ザッケローニ監督は前向きだ。

 わずか来日数日でとんかつ、天ぷらに加え、外国人には難敵中の難敵、納豆、梅干しまで「問題なく食べていた」(原委員長)という。この日の出発前には、一呼吸置いて「行ってきます」と日本語であいさつ。日本に染まり、日本のためには過密日程もいとわない。情熱監督が日本を世界レベルに押し上げる。