12年ロンドン五輪を目指す関塚ジャパンが「日中友好大使」になる。アジア大会(11月、中国・広州)に臨むU-21日本代表が11月8日の1次リーグ初戦で中国と対戦することが14日、発表された。尖閣諸島を巡る問題で日中関係が冷え込んでいる中、6万人収容の天河競技場は完全アウェーとなることが決定的。その状況下で、勝利を目指して試合に臨むだけでなく、両国の関係を修復するためのアクションを起こすことで、日中友好の懸け橋となる計画が浮上した。

 関塚ジャパンが日中友好の架け橋になる。アジア大会初戦の相手は開催国の中国。尖閣諸島問題により反日感情が高まっている中、完全アウェーとなることが濃厚だが、日本協会の田嶋専務理事は「友好のためのアクションを起こすことも大事」と話した。

 中国・山東省で開催中のU-19アジア選手権の日本-UAE戦の試合前、君が代斉唱の際に中国人男性がピッチに乱入して日本国旗を強奪した。日本協会側が警備の強化を要請するなど、両国の緊張はスポーツの舞台にまで及んでいる。また、開催地の広州は05年に2000人規模の反日デモが起こった過去があり、一触即発の状況に陥る可能性もある。

 だが、同専務理事は07年9月に中国・杭州で開催された女子W杯での1シーンを強調した。大ブーイングの中、ドイツに敗れたなでしこジャパンは試合後「謝謝(中国語でありがとうの意)」の横断幕を掲げた。会場内ではやじも飛び、中国国内で否定的な見解も出た一方、この行為に対しての称賛もわき起こった。

 「完全にアウェーになるとは思う。ただ、厳重な警備をお願いしたりするのは当たり前の話。それより、女子W杯のようなことを考えた方がいい」と同専務理事。なでしこジャパン流の横断幕、友好のメッセージ付きのプラカード、どんな激しい試合になっても友好的な態度を貫くマナー…。さまざまな案はあるが、U-21代表にとってロンドン五輪への第1歩となる舞台は、日中友好への第1歩にもなるかもしれない。【菅家大輔】