ロンドン五輪出場を目指すU-21(21歳以下)日本代表が来年2月、アジア最難敵サウジアラビアとアウェーで対戦することが15日、分かった。同4日から1週間、サウジアラビアのダンマンで合宿し、同代表との対戦が急きょ決まった。関塚隆監督(50)率いる日本は、海外組を除く最強メンバーで臨む。事実上の2軍でアジア大会を制し、来年7月には韓国、北朝鮮戦も組み込んだ。五輪アジア最終予選前に、ライバルをなぎ倒し、五輪出場、さらにはメダル獲得への最強シナリオが完成した。

 約半世紀ぶりの五輪メダルへ、日本が旅に出る。関塚ジャパンが来年2月にサウジアラビアへ乗り込むことが、急きょ決まった。関塚監督の強い要望を受け、日本協会が約2000万円の特別予算を組んだ。アウェーの中東対策として同地で、同国を含む2試合を予定しており現在、近隣のカタール、バーレーンとも交渉している。

 「代表強化のため、アウェーで強い国とやるのは、岡田ジャパン時代から犬飼(前)会長が強調したもので、その方針は変わらない」。日本協会関係者が明かすように、日本協会の方針としてA代表、五輪代表、なでしこジャパンはもちろん、ユース以下のカテゴリーの代表も、今後は積極的にアウェーに出向いて強国と対戦して強化を図る。

 J1のレギュラー選手が合流していない、事実上「2軍」で出場したアジア大会で、日本は史上初の金メダルに輝いた。今度のサウジアラビア遠征は、シーズンオフのため、FW香川真司(21=ドルトムント)ら海外組を除く国内組の最強メンバーが組める。選手の疲労度を考慮し、来年1月のアジア杯メンバーは外す予定だが、FW永井謙佑(21=福岡大)ら金メダリストに加え、現段階で組める同年代の最強メンバーをそろえることになる。

 関塚ジャパンは、アジア大会で、中国は圧倒したものの、UAE、イランなどライバル国を、苦しみながらも倒して自信を付けた。来年7月には同大会で対戦していない、韓国、北朝鮮とも、中国で対戦する予定。日本代表スタッフは「サウジはスピードとテクニックのある選手が多いし、カウンターも得意だし、日本が苦手とするタイプだと思う」。

 サウジアラビアは、戦力隠しなどのため、アジア大会は出場していない。さらに、前大会の北京五輪予選で2度対戦し、2試合とも0-0で引き分けているだけに、今回アウェーで破れば、最高の自信につながる。

 日本は来年6月にアジア2次予選を戦い、同9月から再来年の3月まで最終予選6試合を戦う。すべてホームアンドアウェー方式で、日本は最終予選で前大会同様、中東国2カ国と対戦する可能性がある。予選突破のため、中東での試合は、越えないといけない大きな壁でもある。

 五輪アジア予選は国内組だけで戦う予定で、予選を突破すれば、ロンドン五輪は、香川ら海外組に加えて、オーバーエージも合流する。FW森本(カターニア)、MF本田(CSKAモスクワ)、DF吉田(VVV)ら、世界で経験を積んで成長を続けるオーバーエージが強力縦ラインとして加われば、68年メキシコ大会銅メダル以来の五輪メダルも夢ではなくなる。