日本サッカー協会は16日、今月予定していた強化試合のモンテネグロ戦(25日、エコパ)、ニュージーランド戦(29日、国立)の開催中止を決定した。東日本大震災や福島原発事故による交通網の混乱、電力不足、安全確保を第一に考え、決断した。強化試合2試合に代わって、同29日にチャリティーマッチ開催を決定。現在、ニュージーランドと交渉しており、今日17日には正式決定する。

 「日本健在」は、形を変えて世界に発信する。日本協会の小倉純二会長は「2試合は中止になりましたが、今月29日に大阪でチャリティーマッチをやりたい」と発表した。相手は地震からの復興を目指すニュージーランド。現在、同国に打診しており、17日に返答をもらうことになった。

 同会長は「仮に相手が来日できないとの返事がきても、チャリティーマッチは国内代表選手だけを集めてでもやります」と決意表明した。チャリティーマッチ会場で、募金活動を行い、入場料収入などと合わせて日本赤十字を通じて被災地に届ける予定だ。

 チャリティーマッチといっても、ニュージーランドと対戦する場合、国際Aマッチとして認定される。原博実強化担当技術委員長は「もちろん強化の目的もあります。ザッケローニ監督と相談して、海外組12人を含めベストメンバーを呼ぶ」と真剣勝負を強調した。メンバーは早ければ今日17日に発表する予定で、26日から招集し、2日間練習してから試合に臨む。

 イタリアに帰国中のアルベルト・ザッケローニ監督(57)は日本協会を通じ「このマッチを、被災者の皆様と、復興に向けた活動を支援していく最初の活動としていきたい。日本は必ず立ち直ると確信している。一致団結して全力を尽くしていきたい」とコメントを寄せ、MF長谷部誠主将は「日本のみなさんに支えられてW杯ではいい成績を残せた。今度は我々が勇気を与えたい」。未曾有の非常事態。日本サッカー界は、慈善試合を通して日本中を勇気づけ、世界に健在を発信する。【盧載鎭】