J2札幌のDF櫛引一紀(18)が、世界への1歩を踏み出す。今日14日、U-18日本代表の米国遠征に出発する。世代別代表初選出の櫛引にとって、13年U-20W杯へ向けた最初のアピールの場。2年後の世界大会出場を決めれば、クラブから特別給も支給されるだけに、札幌DF初の代表入りに向け気持ちを高ぶらせた。

 納得いくまで体を動かした。米国遠征前ラストとなる13日の札幌・宮の沢での練習。櫛引は全体練習後に約40分、村田コーチと日が暮れるまで、ひたすら居残り練習に励んだ。今日14日は初めて日本代表として米国に旅立つ。「大きな大会に出ることが自分の成長につながる。これから全部の選考に呼ばれて世界大会まで残れるようしっかりアピールしたい」。道のりは長いが、視線は既に2年後のU-20W杯を見据えた。

 世界大会に出ればクラブから特別給が支給される。三上大勝強化部長(39)も「選手が代表で活躍することはチームにもプラス。どんどん選ばれるよう設定してある」と話している。アジア予選を突破し世界に出ることが条件だが、08年の宮沢も昨年の古田も同予選で涙をのんだ。条件をクリアしたのは07年U-20W杯出場のMF藤田征也(現新潟)だけ。険しい道だが、札幌DFとして初の世界大会出場となればチームにもカンフル剤となる。

 初の代表帯同だが準備は万全だ。早生まれのため1学年下の世代が中心だが「年上としてチームを引っ張っていくプレーをしたい」と自覚は十分。さらに新たな仲間とのコミュニケーションツールとして「人志松本のすべらない話」のDVD4本をバックにしのばせた。「お笑いの話から会話が広がるかもしれない」。チームメートとのトークネタとしてだけでなく「ピッチを離れたときは常に笑っていたいから」という個人的なリラクセーションにも活用していく。

 今回の遠征では17日からダラス杯に参戦する。決勝は24日で、途中で敗退しても現地で実戦を行う予定。23日の再開初戦湘南戦は出場できないが「代表でいいプレーをして成長して、チームに還元できるようにしたい」と誓った。U-18代表の山橋コーチが何度も札幌に視察に出向き選出した逸材“クッシー”。世界へ飛び出すためにも、まず手始めにアメリカ大陸を席巻しにかかる。【永野高輔】

 ◆U-18日本代表の米国遠征

 今日14日に出発し、現地で16日まで練習。テキサス州ダラスで行われるダラスカップは17日開幕で、同日にクラブ・スポルト・カタヒネス(コスタリカ)と対戦。18日にはFCバルセロナ(スペイン)、20日にはFCダラス(米国)と対戦する。22日準決勝、24日決勝で、26日に帰国予定。今年10月29日からは、13年U-20W杯予選となるU-19アジア選手権(開催地未定)が行われる。