ロンドン五輪アジア最終予選の抽選会が7日、マレーシアで行われ、5大会連続9度目の出場を目指すU-22(22歳以下)日本代表はバーレーン、シリア、マレーシアと同組のC組となった。実力的にも1位通過は十分に期待される組み合わせとなり、ドローに恵まれた。ただし、シリアでは、アラブ諸国に広がる激しい反政府デモが続き、バーレーンでも不安定な政情問題がくすぶったまま。治安問題というデリケートな課題を抱え、同日本代表のロンドン五輪への最終コーナーは予断を許さない。また、同日本代表が8月10日に同エジプト代表と国際親善試合(札幌ドーム)を行うことが発表された。

 第一声が、運に恵まれた指揮官の心情を表していた。都内の日本協会で、関塚監督は率直な感想から切り出した。

 関塚監督

 最終予選なのでどこの相手も強豪ぞろい。厳しい戦いになる。その中で、Bグループに強豪が集まったなという印象を持ちました。

 Bグループはオーストラリア、イラク、ウズベキスタン、UAE。他グループの感想を口にしたところに関塚監督の心理が見て取れた。

 確かに幸運だった。6月の2次予選は、敵地でクウェートに逆転負け。汗をかけない独特の暑さに苦しみ、中東の怖さを知った。中東勢3カ国との同組を避けた事実は大きい。

 さらにバーレーンは、2月の中東遠征で2-0で勝利。「良いシミュレーション」と同監督。マレーシアも昨年11月の広州アジア大会1次リーグで対戦。相手はU-23(23歳以下)も2-0で勝利。8月10日のエジプトとの親善試合も「シリア対策になる」と言及した。

 ただし、半年に及ぶ長丁場に、重大な懸案事項が浮上した。1月チュニジアのジャスミン革命の影響を受け、アラブ諸国で政府への抗議運動が激化。通称「アラブの春」はシリア、バーレーンに飛び火した。

 シリアの情勢は予断を許さない。3月の騒乱以降、邦人は約160人から約50人に減り、外務省からは退避勧告が出た。1日の反政府デモでは24人の死者に、現地日本大使館は「現時点では騒乱が終わるかは分からない」と説明。6月のトルクメニスタンとの2次予選では、シリアはホーム戦をあきらめ、中立地ヨルダン開催になった。

 来年2月のアウェー戦について日本協会関係者は「時間がある。今後、アジアサッカー連盟、外務省と綿密に連絡を取り合っていく」と話した。治安に常に気を配る必要が出てきた。

 こうした環境でも日本協会は準備を進める。11月23日の敵地バーレーン戦後、直行便のチャーター機を用意する計画がある。同27日のホームでのシリア戦へ最大のバックアップになる。

 中東の政治状況はあなどれない。関塚監督は「その都度、ベストのタイミングで、ベストのチームをつくるように調整していきたい」と、緊迫感を漂わせていた。【阿部健吾】