G大阪のMF遠藤保仁(31)が、12年ロンドン五輪のオーバーエージ(OA、年齢制限外選手)候補に挙がっていることが12日、分かった。U-22(22歳以下)日本代表が五輪出場権獲得後、正式要請を受ける可能性が高い。同代表は手薄なボランチとセンターバックにOA枠を採用する方針。前回の北京五輪直前にウイルス感染症で入院し、OAを辞退した遠藤も「五輪にはこだわりがある」と熱望。初の五輪出場が現実的になってきた。

 長年の夢だった五輪に、遠藤が立つ可能性が出てきた。U-22代表の関塚監督が、来年のロンドン五輪出場権を獲得した際、OAの最有力候補に挙げていることが分かった。五輪本戦はA代表でも主力の香川だけでなく、韓国戦(10日)で鮮烈なA代表デビューを飾った清武、さらに宇佐美、宮市ら豪華攻撃陣がそろう。一方でボランチとセンターバックは手薄で、その位置にOA選手を起用する方針だという。

 遠藤にとっては悲願の大舞台になる。兄彰弘さんが、96年アトランタ五輪でブラジルを破る「マイアミの奇跡」を起こすなど、活躍する姿を見て憧れ続けた。だが、自身が中心になるはずだった00年シドニー五輪は、予備登録選手としての同行でピッチに立つことができなかった。悔しさを糧にA代表で主力となり、08年北京五輪のOAに選出されながら、直前でウイルス感染症で入院。やっと手にしたはずの舞台は、目の前で消えた。不思議と五輪とは縁がなかった。だからこそ遠藤自身も、五輪出場に強いこだわりを持っている。

 遠藤

 ボクにとっては唯一、出たことのない大会なので、ぜひとも出たいという思いはある。シドニーで悔しい思いをしましたし、やっと出られると思った前回も病気になって、また悔しい思いをしてしまった。自分だけで決められるものではないですから、正式な話が来たら協会とクラブとで決めてもらえればいい。ボク自身の意見としては、ぜひ出てみたいです。

 五輪出場権を獲得後に正式要請される可能性が高い。OAでの出場が実現すれば香川らとはA代表で一緒にプレーしているため、抜群の連係が期待できる。決勝トーナメント進出、さらにメダル獲得も夢ではなくなる。女子W杯で世界制覇を果たしたなでしこジャパンに続くように、日本の男子五輪代表としては過去最強と言ってもいい布陣が組める。

 今日13日のアウェーC大阪戦に向けて練習したこの日、遠藤は代表合宿での疲労を考慮して室内での別メニュー調整になった。C大阪戦の出場については「先発で出られないなら(遠征の)バスには乗らないです」と珍しく強気で話した。9月にはW杯アジア予選が始まり、過密日程との戦いもある。それでも14年W杯ブラジル大会を目指す道中に、ロンドンに臨む。

 プロ入り前から夢にまで見た五輪に、遠藤が立つ。