【タシケント(ウズベキスタン)4日=盧載鎭、菅家大輔】日本代表FW清武弘嗣(21=C大阪)が敵地でのW杯アジア3次予選ウズベキスタン戦(6日)で国際Aマッチ初先発を飾る可能性が出てきた。日本代表は4日夕方から、タシケント市内の練習場で調整練習を実施。2日の北朝鮮戦で決勝アシストをマークし、Aマッチ2戦3アシストと好調を維持する若きアタッカーが、右ひざ故障で離脱した大黒柱FW本田圭佑(25)の穴を埋める存在となり、ザックジャパンを予選2連勝へと導く。

 国際Aマッチ2戦3アシストと、ノリにノっている若武者に初先発の可能性が浮上してきた。相手は強豪ウズベキスタン、しかも敵地。苦戦を強いられることは間違いない一戦で、21歳の清武が本田不在という不安を一掃する最後の切り札となる。

 北朝鮮戦は本田離脱の穴を埋めるべく、MF柏木がトップ下で出場。厳しいマークを受けながら、数度の好機を演出したが決定的な仕事はできなかった。だが、柏木に代わって清武が投入されて右サイドに入ると、好プレーを連発。終了間際には右からのクロスでDF吉田の決勝点をアシストしてみせた。結果を残しただけでなく、左サイドからトップ下にポジションを変更した香川との流れるような連係、相性の良さも先発出場への追い風だ。

 出場直前に「なるべく外に開いてプレーしろ」とザッケローニ監督に指示されていた。自身は「ゴールを決めないといけなかった。点を取るチャンスはあった」とアシストに満足せず反省を口にしたが、指揮官からはサイドアタッカーとしての資質を高評価される。先発するなら右サイドで出場することになりそうだ。

 日本協会関係者によると、試合会場のパフタコル・スタジアムは芝が深く乾燥しているため、ボールの転がりが悪い。日本のテンポの良いパスワークに悪影響を与える可能性がある。パスが回らなければ個人の突破で好機を演出する必要が出てくる。ウズベキスタンは欧州勢のような屈強な体を持つが、スピードへの対応には難があるだけに、清武のすばしっこいドリブル突破が活路となるはずだ。

 「W杯予選は責任感と緊張感が今までとは違う。特別な舞台でした」。北朝鮮戦を終えると、清武はそう話した。日の丸を背負う責任は先発出場なら、なおさら重みが増す。「しっかり切り替えて次のウズベキスタン戦に向けて準備します」と冷静に話していた男が、重圧を乗り越えザックジャパンに2連勝をもたらせば、誰かの代わりではなく、真のレギュラーへの道も開かれる。【菅家大輔】