なでしこジャパン候補合宿は12日、和歌山県内のグラウンドで連日の試合形式の練習を行った。この日は4カテゴリーの総当たり対決。W杯ドイツ大会で世界一となったFW枠を奪い取るサバイバルが激しさを増してきた。なでしこチャレンジFW大滝麻未(22=リヨン)が、なでしこ相手に1ゴールを挙げて1-0の勝利。佐々木則夫監督(53)の前で大きなアピール弾となった。まずは、アルガルベ杯(29日開幕、ポルトガル)メンバー入りへ1歩前進した。

 欧州CLを制した強豪のフランスリーグ・リヨン入りが決定したFW大滝が、ノリさんの心をつかんだ。前日11日に続き、実戦形式。4カテゴリー総当たりの真剣勝負の中、なでしこジャパンから貴重な1点を奪い“金星”を呼び寄せた。

 20分ハーフで行われた前半16分、縦パスに前を向くと、DF近賀、矢野ら3人を一気に抜き去り右足でシュート。「ドリブルしているときに決めなくちゃと思いました。自分の得意な形で決められたので自信になった」。トップスピードでも冷静にGKの動きを見て左スミに決めた。

 佐々木監督の期待も熱を帯びてきた。その後行われたU-20との対戦中には大滝に直接指導。「チャンスがあればGKを含めて、前からもっと取りにいけ」と、なでしこの生命線でもある前線からの守備意識を植え付けた。

 “世界一のFW陣”は大野、川澄は鉄板。海外組の永里優、安藤も当確だ。残り数枠をかけて高瀬、永里亜や、負傷離脱中の岩渕、丸山らと生き残りを争う。さらになでしこチャレンジFW菅沢優衣香(21=新潟)が、DFを背負いながら反転シュートに続き、クロスを頭で合わせ、U-17相手に2得点。「ポストプレーでは負けていない」と後を追う。

 またU-20のエース京川舞(18=INAC神戸)も個人技の高さを見せつけた。指揮官も「アルガルベ(メンバー)は50~60%くらいだけど見えてきた。個の部分はしっかり見極められた」と、手応えをつかんだようだった。

 大滝は1月の渡仏時にリヨンからバスで3時間かけ、モンペリエDF鮫島、宇津木と対面。先輩の激励がさらになでしこ入りの意識を高めた。「目標の五輪出場のためには、まずはアルガルベでも点を決めたい」。今もなお伸び続けている身長172センチの高さと裏に抜けるスピード兼備は貴重な存在。大学通算100ゴール以上を積み重ねてきたが、今合宿初弾は主力をも脅かす、価値ある一撃となった。【鎌田直秀】