日本で決める!

 日本代表のFW香川真司(24=マンチェスターU)が、史上初めて国内でのW杯切符獲得を誓った。26日に1-2で惜敗したW杯アジア最終予選のヨルダン戦後、深夜にドイツ経由の航空機でマンチェスターに戻った。唯一の得点を挙げながらの敗戦に、悔しさをあらわにしながらも「日本で絶対に(W杯)出場を決める」と約束した。次の最終予選は6月4日のオーストラリア戦(埼玉)で、日本列島を歓喜の渦に包み込む。

 必死に気持ちを切り替えようとした。ヨルダン戦終了から6時間後の深夜1時すぎ(日本時間27日早朝)。所属のマンチェスターUに戻るため、香川は人影の少なくなったアンマン国際空港に姿を見せた。足取りは重い。取材を受けても、いったんは頭を整理するように言葉をつぐんだ。そして、出国審査場の手前で立ち止まると、次戦に向けた思いを口にした。

 「次の試合、絶対に決めたいと思う。日本で決める。そういう思いは、もちろん、すごくあります」

 これまで、日本は国内でW杯出場を決めたことがない。初出場の98年大会はジョホールバルでの第3代表決定戦。02年大会は開催国枠で予選免除。06年大会はバンコクでの北朝鮮との無観客試合。10年大会は敵地ウズベキスタンだった。今予選の次戦は、6月4日埼玉でのオーストラリア戦。引き分け以上で自力でW杯切符を獲得する。国内でのW杯決定は史上初。列島を歓喜の渦に-。その思いが、落胆する香川の心を奮い立たせた。

 「今日の試合(ヨルダン戦)に関しては、悔しいです。本当に悔しい。悔しいという思いだけしかないですね。結果には失望した。個人的にもレベルアップしないといけないと感じましたし、精神的にも強くならないといけない。キヨ(清武)と、いい形で崩せた部分もあったのでね」

 2点を失い、劣勢に立たされた後半24分。長谷部から清武へと流れるようにつなぎ、最後は右足ダイレクトで反撃弾を挙げた。本田が不在の中、攻撃の軸としてトップ下で奮闘しながらの惜敗。香川が得点した国際Aマッチは過去8勝1分けと不敗だったが、10戦目で初めて負けた。

 試合中は何度も緑色のレーザー光線をあてられた。試合後、相手選手に渡した背番号「10」のユニホームは、胸の日の丸の部分を掲げられながら、クビを切るポーズをされる屈辱まで味わった。ザッケローニ監督も同様の挑発行為を試合中から受けた。アジアでも未知なる厳しい戦いがあることを肌で感じた。

 今後は所属クラブに戻り、世界に通用する力を磨く。マンUはリーグ戦で首位を独走中。プレミア王者として弾みをつけて、6月に代表に戻ってくることができる。「厳しい環境でもまれて、頑張っていきたい。(プレミア制覇は)チームとして最低条件」。日本に感動と、希望を-。悔しさを胸に、香川はもっと強くなる。【益子浩一】