【コスタドサウイペ(ブラジル)3日(日本時間4日)=菅家大輔】対戦国よりも危険な落とし穴があった。日本代表は6日午後1時(日本時間7日午前1時)に14年W杯ブラジル大会の抽選会を迎える。3日の国際サッカー連盟(FIFA)W杯組織委員会の会見により、日本代表は北中米と同じ第3ポットに決まった。これに伴い、いわゆる強豪国が集中する「死の組」の可能性が高まった。さらに、日程問題も急浮上。長距離移動と気候差による「死の日程」は、日本代表にとって極めて厳しい壁となる。

 厳しい現実が目前に迫った。日本時間3日深夜、発表されたポット分けで日本代表は、北中米カリブ海と同じ第3ポットに入った。やや力の劣る同地域との対戦が消えたと同時に、欧州2+南米1、欧州2+アフリカ1、欧州1+南米1+アフリカ1の3通りの組み合わせのいずれかになることが確定した。

 その「死の組」以上の恐怖があった。「死の日程」。6日の組分け抽選会では対戦相手と同時に試合会場も確定する。そこが厄介だった。日本の約23倍もの面積を誇るブラジルは、都市間の移動距離が長く、南北間の寒暖の差が激しい。原博実技術委員長は3日の出国前、成田空港で既に戦々恐々としていた。「合宿地は抽選結果を見て、気候の違いを見て決めないと」。

 最も恐れているのがD組だ。日程が尋常ではない。初戦はマナウス。全12都市で最も赤道に近く、アマゾン川流域の熱帯雨林気候。今年7月に現地で試合した際、体温が40度を超える選手や、嘔吐(おうと)し身もだえる選手が続出した。

 そこから2戦目の会場サンパウロまで約3880キロも南下する。移動はもちろん、問題は気候差。開催される6月の平均最高気温は31度から21・8度まで9・2度も下がる。ザッケローニ監督は「暑い場所から寒い場所に移る方が、逆より慣れるのが楽」と想定しているものの、日本でいえば、北海道・稚内~沖縄・那覇(約2500キロ)以上の寒暖の変化に、中4日の試合間で慣れなければならない。

 命綱は対策にかかる。10年南ア大会では、高地対策の専門家を合宿地のスイス・ザースフェーに帯同。標高1800メートルの同所で高地に順化したことで、下馬評を覆し16強に進出した。

 3戦目の会場ベロオリゾンテも、経験に乏しいサバンナ気候。対応が後手に回れば対戦国以前の問題となる。「死の組」も「死の日程」も運命しだい。できる対策を怠れば惨敗が待つ。<組分け抽選順>(1)第4Pの欧州9カ国の中から抽選で第2Pに入る国を選出。(2)第1Pを抽選。1次リーグ8組に振り分ける。開催国ブラジルは自動的にA組に入る。(3)第1Pで南米4カ国が入った組の中から、(1)で選出された第2Pの欧州1カ国が入る組を抽選で選ぶ。(4)第2Pの残り7カ国を抽選で振り分ける。なお、第2Pの南米2カ国は第1Pの欧州4カ国のいずれかと同組になるように抽選。これにより南米2カ国が同組になることを防ぐ。(5)第3ポットを抽選。(6)第4ポットを抽選。