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 いよいよW杯イヤーの2014年が幕開け、日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(60)が、W杯ブラジル大会(6月12日開幕)に向けて合同インタビューに応じた。就任から3年が過ぎ、いよいよ集大成の半年を迎える。10年W杯南アフリカ大会以上の成績を求められる状況下で、本大会を半年後に控え、チームづくりに対する自信、W杯へ向けた意気込み、日本サッカーへの思いを語った。

 W杯まで、あと半年-。イタリア人指揮官は柔和な笑みを浮かべつつも、確かな自信をのぞかせた。就任から3年がたち、真価が問われる2014年。ザッケローニ監督は、その胸に去来する思いを明かした。

 ザッケローニ監督(以下ザック)

 (W杯イヤーに突入して)本当にポジティブな心境だ。チーム力、パーソナリティー、組織力。チームの確実な成長を実感している。体力面、精神面でベストで臨めば、世界トップ10ともやれる。だから、いかに100%の状態で本番にぶつけられるかが大事になる。

 W杯南アフリカ大会(16強)以上の成績を求められる本大会は、1次リーグでコートジボワール、ギリシャ、コロンビアと対戦。「死の組」ではないが、くせ者がそろうC組。突破のために必要なものは何か。

 ザック

 アジアのオマーンやヨルダンなら60分間しっかりプレーできれば勝てる。だが、本大会ではそれでは足りない。90分間、(昨年11月の)オランダ、ベルギー戦のような動きをする必要がある。常に動き、インテンシティー(攻守の激しい切り替え)を維持する。それができるかどうかが命運を握る。

 ザッケローニ監督の求めるサッカーを体現するための鍵が、選手選考だ。昨年途中からFW柿谷、MF山口、DF森重ら「新戦力」の国内組が台頭した。

 ザック

 私の中には63人の代表候補がいる。ただ、ここに入っていなくても、今から半年の間に良いパフォーマンスを見せればメンバー入りの可能性は十分にある。中村俊や大久保?

 おそらく入っているのではないでしょうか。コンディションの良い選手が本大会には必要だ。

 日本は「勝者のメンタリティー」に欠けると言われる。勝ちきれず、勝負弱い-。W杯で勝ち上がるには必要不可欠な「心」。試合巧者イタリア出身の指揮官は、今の日本をどう見るか。

 ザック

 日本は急激に成長したが、確立されてはいない。W杯までには確立できないだろう。確立するまで60~70年かける国もあるからだ。ブラジル、アルゼンチン、イタリアなどは「60」の状態で勝ち切るが、日本はまだできない。「100」の状態を継続的に出す必要がある。

 日本の現状を冷静に分析しているからこそ、6月14日の1次リーグ初戦コートジボワール戦を最高の状態で迎えなければならない。

 ザック

 確実に言えるのは、自分たちがかなり良い状態で初戦に入っていかなければならないということ。コートジボワールはブラジルやドイツほどの名声はないが、強いチーム。日本が相当良い状態でなければやられる。

 チームの成長に手応えを示しながら、冷静に「今」も見すえている。最後に指揮官はW杯へ向けた意気込みを口にした。

 ザック

 W杯で良い結果を出すことに集中したい。日本は良い内容の試合をすれば結果が出る。良い結果を出せば、そこには成長が伴う。この4年間で日本サッカーが成長したなというものを残せればと思う。自分にとっても、この4年間の経験は素晴らしいものだ。W杯で有終の美を飾りたい。【取材・構成=菅家大輔】