日本サッカー協会が、次期日本代表監督として契約間近のハビエル・アギレ氏(55)に、16年リオデジャネイロ五輪世代の指導も要請していることが2日、分かった。日本代表の世代交代を円滑に進めるためで、U-21日本代表の手倉森誠監督のアドバイザー役を期待。18年W杯ロシア大会に向けて、A代表と五輪世代を統括する総監督のような立場で手腕を発揮してほしい、という狙いがあるようだ。

 日本協会は、金銭面で大筋合意したアギレ氏に、A代表と五輪世代の「総監督」のような立場での指揮を打診した。五輪世代の直接指導ではなく、アドバイザーのような形で積極的に意見を出してもらいたいと求めている。試合観戦はもちろん、合宿などに足を運び、手倉森監督らコーチや選手とコミュニケーションを図ってもらい、五輪後のA代表の編成を円滑に進めたいという思惑がある。

 ザッケローニ監督体制のスタッフは、原専務理事に対して「ザッケローニ監督は、下の年代との交流が少なすぎた」ことを、現場の意見として伝えている。実は4年前にザッケローニ監督と契約を結んだ後、原技術委員長(当時)が五輪世代の指導も打診したが「A代表に集中したい」と言われ、あきらめた経緯がある。その反省を踏まえ、今回は契約を交わす前に打診したようだ。

 10年W杯南アフリカ大会では、その2年前の北京五輪代表から本田と長友が全4試合にフル出場した。さらに岡崎も、スーパーサブとして4試合すべてに出場。日本が奪った全4得点中、五輪世代が3点を挙げる活躍で1次リーグ突破の原動力となった。当時A代表の岡田監督と、五輪代表の反町監督が積極的に意見交換したことが、功を奏した結果とも言える。

 今回のW杯ブラジル大会では、12年ロンドン五輪代表の中から全試合にフル出場したのは、オーバーエージ枠で出場したDF吉田だけ。スタメンのほとんどが岡田監督体制時のメンバーで構成されていた。前任者の轍(てつ)を踏まず、リオ五輪世代との融合を図って強い日本代表をつくる-。日本協会は4年後に向けた青写真を描いている。