アジアの大砲から学び、日本の大砲を生かす!

 日本代表DF太田宏介(27=東京)が、明日18日の親善試合オーストラリア戦(ヤンマー)でアジア杯(来年1月開幕)メンバー入りに名乗りを上げる。16日に大阪府内で行われた非公開練習で調整。生粋の左利きサイドバック(SB)として定位置争いを勝ち抜く。

 左足から放たれるピンポイントクロスのイメージは出来上がった。大阪府内での初練習を非公開で約2時間行い、太田の目には自信が満ちあふれていた。左SBとして定位置を狙う上で、最大の武器は左足クロス。実戦練習の中から手応えをつかみ、オーストラリア戦でのイメージを高めた。「ボールを持ったとき、相手のDFとGKの間に上げる。岡ちゃん(岡崎)とトヨ君(豊田)は上げやすい」。タイプの異なる2人の「大砲」に蹴り込む。

 ゴール前に頭から突っ込む岡崎と、高さのある豊田。2人の特徴は把握している。「2人とも自分から動きだしてくれる。後は自分の精度。チャンスをつくりだすことができればいい」。地面すれすれの低空クロスから、ジャンピングヘッドに合わせるハイクロスまで。一瞬の判断で蹴り分ける技術と精度が、太田にはある。

 今季J1で記録したアシスト9は全体で4位。DFでは断然1位を誇る。Jでは屈指の左SBとして、前回10月の代表から招集されているプロ9年目。高卒でプロ入りした1年目の横浜FCでは「アジアの大砲」と呼ばれた元日本代表FW高木琢也氏(現J2長崎監督)から指導を受けた。「年上選手ばかりの中で誰よりも自分のことを叱ってくれて、誰よりも気に掛けてくれた」と、今でも恩師として慕う。

 92年に広島で開催されたアジア杯決勝のサウジアラビア戦で、高木氏が決勝点を決めた映像を見たことがある。太田自身、アジアの覇権を争うオーストラリアとの戦いを経て、来年1月のアジア杯を見据える立場にいる。「自分もテレビで高木さんの姿を見ていた。だから高木さんに代表での自分の姿を見てほしいし、次会ったときにまたいろいろ言って欲しいっすね」。大砲の使い手となって、アジアの戦いに挑む。【栗田成芳】

 ◆左SB争い

 故障を抱えていたため今合宿に招集されていないDF長友(インテルミラノ)が主軸となり、左右をこなす酒井高、左利きのスペシャリスト太田が絡む。長友、酒井高は本来は右利きの選手だけに、左利きの太田にも十分にチャンスはある。