八百長疑惑でスペイン検察当局から告発された日本代表ハビエル・アギーレ監督(56)があらためて疑惑を否定した。27日、東京都内のJFAハウスで記者会見。15日に告発されてから、公の場に姿を現すのは初めて。告発文に明記された銀行口座の入出金については、司法当局に話すとして言及しなかった以外は、よどみなく自信たっぷりに答えた。日本代表はアジア杯オーストラリア大会(来年1月9日開幕)に向けて明日29日から千葉県内で合宿に入る。

 アギーレ監督は質問者の目を見て、よどみなく答えた。会見中、用意された水、灰色のカップには一切手をつけず、額に汗することもなかった。大量のフラッシュを浴びても眉間にしわを寄せることもない。自信たっぷりの受け答えだった。「選手、指導者としての39年間、毎週末戦ってきた。これまでの1000試合の中で汚点となるものは1試合もない」と疑惑を真っ向から否定した。

 日本代表に降りかかった八百長疑惑は、サッカー界だけでなく、世間を巻き込んだ。だが指揮官は「私は大騒動だとは思っていない」と答え「スペイン、メキシコ、アメリカでもスキャンダルになっていないのに、日本ではなっているということ。私にとってはクリアな状況。時が来れば事実が明らかになるから、それを待ってほしい」と平然としていた。

 目下の懸案は、アジア杯期間中に告発が受理され、バレンシア裁判所から出頭を要請されることだ。呼び出されれば監督不在で公式戦を戦うことになる。だが、アギーレ監督は「弁護士によると、仕事に影響のないところで呼んでいただけるとのこと。大会期間中は、優勝のための仕事以外、1分も割かない」「代表監督の仕事に影響することはない。100%保証する」と自信たっぷり。18年W杯ロシア大会まで指揮を執れると考えているかと聞かれ「もちろんです」と言い切った。

 だが、今回の疑惑のポイントとなる銀行口座の入出金については言葉を濁した。11年5月、当時のサラゴサの会長がアギーレ監督らに振り込んだ金が相手側に渡ったとされ、アギーレ監督の口座に5万ユーロと3万5000ユーロが振り込まれ、その後、引き出された形跡が確認されている。「それはお答えすることはできない。そういったことについては、司法当局に答えたい。ただ、当局から質問されても落ち着いて答えられる」と自信を見せたものの、この質問だけはあいまいな答えを繰り返した。

 今後の展開次第で辞任する可能性については「想定の話はできない。ただ私はクラブ、代表で1度も辞任したことはない」と否定。疑惑が降り掛かったことについて「私も驚いている」と苦笑いさえ浮かべた。約40分間の会見を終え、エレベーターに乗り込む際も疲労の色はなし。自らハンドルを握ってJFAハウスを後にする時には、外で待つメディアに手を振る余裕さえも見せた。【高橋悟史】