浦和ゲルト・エンゲルス監督(51)が、背水の大一番に臨む。22日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第2戦で、G大阪戦をホームに迎える。18日のJリーグ神戸戦を0-1で敗れてJ王座奪回が遠のいたことで、その采配に批判が集中した。もしACL敗退となれば一気に去就問題に発展する可能性が高い。それだけに、2年連続の決勝進出を決め、周囲の批判を封じ込めたいところだ。

 ポジティブに、勝つことだけに集中した。浦和は0-0でも決勝進出が決まるが、エンゲルス監督の頭にはドローの選択肢がなかった。「明日は我々にとって大切な試合。アウェーの引き分けでちょっと有利になったけど、0-0で引き分けるのは難しい。勝ちにいく」と強い決意をこめた。

 にわかに身辺が慌ただしくなっていた。18日の神戸戦に0-1で敗れ、公式戦5戦連続勝ちなし。残り5戦で、リーグ首位の鹿島と勝ち点6差の5位まで離された。エンゲルス監督はサポーターから采配に対する批判を浴びた。この日、藤口社長は「監督とは何も話していない。中村(強化本部長)がいろいろと話をしている。今日はそれ以上はない」とピリピリムード。ある浦和幹部は「もしJリーグで3位以内を確保しなければ、来季のACLにも出られない」と危機感を募らせており、ACL敗退が、指揮官の去就問題に発展する可能性は高い。

 しかし、同監督はあくまでも前向きだ。ACL決勝進出が、現在、5位にとどまっているJリーグへの勢いにもつながることを強調した。「勝てば決勝に行ける。勝つことはメンタル的にもいいこと。大事なのは明日勝てば、Jリーグにも良い影響が出る」と断言した。

 既に試合チケットは約5万9000枚が売れた。試合当日の埼玉スタジアムは赤く染まることは確実。同監督は「すべてポジティブなこと。ホームだし(満員に近いことは)いいことだと思う」と後押しを期待。自らの手腕で満員の浦和サポーターにG大阪撃破を見せつけ、クラブ内外の「雑音」をシャットアウトするつもりだ。