監督! こんな選手はいかがですか? 今季は16年リオデジャネイロ五輪と18年W杯ロシア大会のアジア予選イヤー。日本代表の監督就任が内定したハリルホジッチ氏とU-22(22歳以下)日本代表の手倉森監督に、担当記者が独断でイチオシを紹介していきます。開幕戦は今季のJリーグ1号を決めた広島FW佐藤寿人(32)です。

 衰えを知らない点取り屋の代表復帰を期待してしまうのは、私だけではないだろう。15年のJ第1号を決めた広島FW佐藤のことだ。前半10分の衝撃弾はアイコンタクトよりも次元が高い。2プレーほど前からイメージしていたものだった。ハーフウエーライン付近のMF青山がボールを持つ直前から得点への道筋が頭にあった。青山からロングパスが出た瞬間には「あとはトラップをしてシュートを打つだけ」だった。

 J1での開幕弾は歴代2位の通算8点目。昨季は2戦目のホーム開幕川崎F戦で、スーパーボレーを決めFIFAの年間最優秀ゴール候補にノミネートされた。決めるべきところで決めるのが真のエースなら、やっぱり代表で見たくなる。

 最後に代表入りしたのは12年10月の欧州遠征。出番はなかった。帰国する際、パリの空港で2人で話した。「こんな悔しい思いをするなら、呼ばれない方が良かった」。辛辣(しんらつ)すぎてとても記事にはできなかったが、熱い思いを持って戦っている証拠だ。

 優しい男だが、ことサッカーへのこだわりは強い。昨季は森保監督とぶつかり、ベンチ外になるつらい日もあった。今月12日で33歳。「理想だけに固執せず、いろんなものに対応できるようにしたい」。良い時も、悪い時も。酸いも甘いも知るからこそ、まだまだ成長できる。【益子浩一】

 ◆佐藤寿人(さとう・ひさと)1982年(昭57)3月12日、埼玉県生まれ。市原(現千葉)ユースから市原、C大阪、仙台を経て05年に広島へ。12年にMVPと得点王を獲得し、翌13年のリーグ2連覇に貢献。千葉MF勇人は双子の兄。J1通算343試合146得点。国際Aマッチ31試合4得点。170センチ、71キロ。