J2磐田の“一発芸男”MF田中裕人(24)が、チームを3連勝に導く。明日21日のアウェー讃岐戦に向け、19日はヤマハスタジアムで開かれた紅白戦に出場した。ボランチの宮崎智彦(28)が左太もも痛で次節欠場が濃厚。代わりにキャンプ中、一発芸でチームを盛り上げた田中が先発に名乗りを上げた。

 田中の持ち味は、セカンドボールへの嗅覚と1対1の守備だ。名波浩監督(42)が就任後、縦パスの意識も芽生えた。この日の紅白戦でも、その縦パスでチャンスメークしてみせた。「出られたら1対1で絶対に負けないこと、つなぎでは前を意識してやりたい」と意欲を示した。

 G大阪ユースから関大を経てプロ3年目。人見知りの性格から脱皮し、キャンプ中は罰ゲームの「一発芸」でチームを笑わせメンタルの強さも発揮した。昨季まではチーム内交流も狭かったが、今は上田康太(28)ら新加入選手や若手と食事に出掛ける。

 「25歳になるし人見知りなんて言ってられない。試合にも絡んでいかないと」とどん欲な姿勢。現在、チーム主将の岡田隆(30)が離脱中で、練習では“主将代理”も務める。指揮官が「リーダーの自覚」を期待して託し、田中も指揮官の意図をしっかりとくみ取っている。

 昨季はセンターバックも経験し「ボランチを動かしていたから、どこに入れられたら嫌かも分かった」と収穫を口にする。一発芸では「次はモリシ(森島)さんに任せます…」と及び腰になっているものの、ピッチ上のプレーならば別。讃岐戦では成長した縦パスと強い球際で“主将代理”の自覚も発揮するつもりだ。【岩田千代巳】