最低限の勝ち点1を拾った。J2札幌は東京Vと引き分けた。後半15分にミスから失点も、同25分にFWナザリト(24)が自身Jリーグ初となる3試合連続ゴールを決め、追いついた。新加入のナザリトが「個の力」ではなく、連係で崩して得点したのは5点目で初。8日で3戦という日程は2分け1敗と白星に見放されたが、大砲が6戦目にして着実にフィットしてきた。

 新しい形が見えたことが、わずかな光明だった。0-1の後半25分、MF古田がドリブルで仕掛け、中央の都倉にパス。都倉がワンタッチで浮き球のパスをゴール前に入れると、大砲ナザリトの嗅覚が反応した。「どんなボールがきても準備はしていた」。DFを背負い、反転しながらダイレクトで右足を振り抜くと、ボールは勢いよくゴールに突き刺さった。

 これで5点目も、開幕戦の1、2点目はこぼれ球への詰めと、クリアボールを拾って相手DFを振り切る走力で奪ったものだった。大宮、京都戦の3、4点目はPK。チームとしてパスで崩した中に、主砲が絡んだ得点は、これが初めてだった。「できればチームとして勝ちたかったが、点を取れたので個人的には悪くはなかった。グループで崩せた」。体の強さやダッシュ力でつかんだ、これまでの4点とは違う。個人能力頼みだった新助っ人が、チームとして、手応えをつかんだ瞬間だった。

 前半は前線の3人が連動せず、ほぼ決定機はなし。ハーフタイムに攻撃陣で話し合い「前の3人の距離が離れている。縮めていこう」と、後半から修正した。試合の中で、てこ入れしながらつかんだ1点。アシストの都倉は「ナザがいい位置にいた。ナザを使いながら3、4人が絡む、いい形。次は僕の位置に、ボランチが絡むようになれば、もっと良くなる」と先を見据えた。

 今季、先制点を許しながら追いついたのは3戦目で初めて。バルバリッチ監督は「この結果に満足しているはずはない。でも、今回の引き分けを、次のゲームに勝って生かしていくことが大切」と話した。3連戦は2分け1敗。大宮戦は10人でドロー、京都戦はシュート18本でPKの1点のみ、今回はドローの中から新しい得点の形をつかんだ。足踏みとはなったが、まだ6戦。残り36戦で、十分、取り返すことはできる。【永野高輔】