今季最多の3発で圧倒! J2札幌は、FW内村圭宏(30)の2試合連続ゴールなどで、磐田を下し、ホーム2連勝を飾った。これで4月5日東京V戦から6試合負けなし(3勝3分け)。昨秋のバルバリッチ監督就任後、3点差以上での勝利は23試合目で初となった。堅守に決定力も加わり、好調をキープ。勝ち点を19に伸ばし、8位からプレーオフ圏の6位に浮上した。

 ようやく内村にスイッチが入った。前半10分に強烈な左足シュートで、都倉の先制点をお膳立てすると、2-0の後半30分、MF堀米の縦パスに反応。DF裏に抜け出すと、そのまま左サイドをドリブルで持ち込み、右足で巻くようにゴール右隅に流し込んだ。

 前節金沢戦では、ショートコーナーからヘッドで今季初得点。今度は流れからの初ゴールに「それだけシュートまでいけているということ。何とか1点取れて良かった」。速さを生かしスペースに抜け出す得意の形で、磐田に駄目を押した。今季自身最多のシュート5本。打って打ちまくる“らしさ”も戻ってきた。

 開幕11戦目にして、流れがきた。11年には12発でJ1昇格に導き、13年には札幌の日本人最多17ゴールを挙げたストライカー。だが今季は「得点よりも、チームとしてのつなぎ役もやっていかないとね」と新たなテーマを掲げていた。ナザリト、都倉の2人のFWを生かす。「2人に点を取らせられるように」と献身的に前線でボールを追い、時にはつぶれ役になった。

 1-1の引き分けに終わった4月5日の東京V戦後、指揮官は守備の連動が悪い理由として内村の動きを厳しく指摘した。それでも「それは期待の裏返しだから」と、真摯(しんし)に受け止めた。そこからチームは6試合負けなし。陰ながら汗を流してきた13番のハードワークが、徐々に結果で示されてきた。

 FW最年長の辛抱をチームの誰もが知っていた。だからこそ、この日2ゴールの都倉は「内さんが、ここまで引っ張ってきてくれた。だから内さんのゴールはとても大切なもの」と、自分のことのように喜んだ。

 5得点のナザリト、4点目を決めた都倉だけでなく、内村もお目覚めだ。「今回は2-0からの得点。次は時間帯も状況も大事な時間に取る」。開幕節以来10節ぶりのプレーオフ圏入り。ここからは、トリプル砲を武器に、さらに上を狙っていく。【永野高輔】