プロの世界は夢が詰まっている-。ブンデスリーガのマインツから正式オファーを受ける日本代表FW武藤嘉紀(22=東京)が、推定年俸100万ユーロ(約1億3500万円)を提示されていることが12日、分かった。プロ2年目の日本人選手としては、億超えとなる異例の高額で、デビュー時から約28倍。すでにチェルシーには断りを入れ、今後は興味を示している他クラブからのオファーを待ちながら、移籍先を見極める。

 武藤がフットボールドリームをつかみ取る。武藤獲得に正式オファーを出しているマインツが、年俸100万ユーロを提示していることが明らかになった。現在所属する東京の今季年俸は2200万円。移籍した際には6倍以上にも上る。マインツ関係者は「それだけの価値がある選手」と高く評価している。

 平均年俸が200万ユーロ(約2億7000万円)といわれるブンデスリーガでは平均を下回るものの、プロ2年目で初めて海外挑戦する日本人選手にとって、異例の高水準といえる。ちょうど1年前の5月は、年俸の上限がなくなるA契約(出場時間450分以上)を結び直し、年俸は480万円から720万円に増額したばかりだった。

 後半戦でのブレークでシーズン13得点決めチーム得点王の働きを見れば、費用対効果は抜群。プロデビューからわずか1年半で約28倍もの年俸提示も、決して過大評価ではない。活躍次第では大幅アップが見込まれる。断りを入れたチェルシーの提示は年俸45万ユーロ(約6000万円)。移籍金こそ400万ユーロ(約5億4000万円)も、評価には疑問を残していた。

 クラブ関係者によると武藤は、決して年俸に固執しているわけではなく「夢のないような話では良くない」と話しているという。Jから海外へ“安売り”で行けば、今後欧州挑戦する日本人選手が足元を見られる。「助っ人外国人」として正当な評価を受け、海外挑戦したい気持ちが強い。

 マインツと東京の間では、移籍金はオプション含め350万ユーロ(約4億7000万円)で話がついているが、移籍が決まったわけではない。他クラブからオファーを受けたとしても、移籍金と年俸の条件面では同等以上が予想される。武藤の可能性は、まだまだ広がっている。(金額はすべて推定)

 ◆世界各国リーグ平均年俸 昨年11月に報じた英デーリーメール紙によると、最も平均年俸が高かったのはイングランド・プレミアリーグの227万ポンドで、現在のレートで約4億2500万円だという。2位以下は、2位ドイツ・2億7000万円、3位イタリア・2億5500万円、4位スペイン・2億2600万円、5位フランス・1億8500万円。年俸に加え、公式戦の試合結果に応じて勝利給が支払われるのが一般的。イングランドの場合はリーグ戦での勝利給はなく、国内カップ戦や欧州チャンピオンズリーグ、欧州リーグに適用されるといわれている。日本のJ1平均年俸は、25位で約2400万円。アジアでは中国の3900万円に次ぐ2位。