今季限りで引退するMF澤穂希(37)の功績をたたえ、INAC神戸が「背番号8」の永久欠番を検討していることが22日、分かった。女子サッカー界では極めて異例で、なでしこジャパンでの世界一やなでしこリーグ3連覇など「レジェンド」として、存在の大きさをあらためて示した。この日は神戸市内で練習を行い、今日23日の皇后杯全日本女子選手権準決勝・仙台戦(午前11時開始、神奈川・等々力)に備えた。

 澤が5年間背負ってきたINAC神戸の「背番号8」は、なでしこジャパンの「背番号10」同様に、クラブの象徴だ。クラブ幹部は「澤の背番号を来季から誰かがいきなり背負うというのは重すぎる。2、3年は空き番号にすることは決めている。継承された選手が重圧でつぶれてしまう可能性がある」と明かした。今季終了後に再検討されるが「澤から『この人につけてほしい』という要望があれば尊重する可能性もあるが、永久欠番ということだって考えたい。それだけの功績ですから」と敬意を表した。

 11年、日テレから移籍した時に、澤が志願して選んだ。「『8』を横にすると『∞(無限大)』になりますから」と、クラブを世界に通用する強豪に成長させる夢や可能性を番号に込めた。11年に無敗でなでしこリーグを制すると、14年にクラブ初の3連覇。13年はリーグ、リーグ杯、皇后杯の3冠を達成し、国際女子クラブ選手権も優勝して世界一に導いた。

 なでしこジャパンの11年女子W杯ドイツ大会初優勝でMVP、得点王。男子のメッシとともに、アジア人初のFIFA(国際サッカー連盟)女子年間最優秀選手賞受賞。すべてでINAC神戸の名前も世界に知らしめた。漫画「キャプテン翼」の作者としても有名な高橋陽一氏が描いた、日本協会の公式キャラクター「楓ちゃん」のモデルも澤。その背番号も「8」が選ばれた。

 女子サッカー界では極めて異例だが、なでしこリーグは固定番号制のため、ルール上は全く問題ない。「背番号10」のイメージが強い澤だが、「背番号8」でも新たな伝説を再び残す。