3年連続17度目出場の東福岡は前回王者の星稜(石川)に2-0で快勝し、夏の全国高校総体との2冠に王手をかけた。

 東福岡が2連覇を果たした98年度以来、17大会ぶりの決勝に進んだ。2連覇を目指す星稜に2-0で完勝。3度目の優勝と全国高校総体との「夏冬2冠」へ王手をかけた。今大会初先発起用に燃える昨夏の総体得点王、MF藤川虎太朗(2年)が先制点を挙げ、2点目の起点にもなった。

 総体5得点で優秀選手の藤川が、前回王者に一撃を見舞った。1回戦からすべてスーパーサブで投入されてきたが、準決勝で待望の初スタメン。背番号6は「絶対点を決める。メンバーの中で一番サッカーを楽しんでやろうと思った」。昨年9月末の練習中に痛めた右足首の状態は万全ではないが、気合が違った。

 前半終了間際だった。MF橋本の左クロスに「直感でした」。裏へ飛び出した藤川は、ワントラップから小1まで利き足だったという左足をとっさに振り抜いた。「総体とは違う。込み上げてくるものがあった」。大会初得点に感極まり、ベンチの倉橋トレーナーらと強く抱きあった。後半12分のMF鍬先の追加点も藤川が相手からボールを奪い、起点となった。

 藤川は「前半からボールが来ても来なくても、たくさん走るイメージで動いた。相手のスキを突く自分の持ち味が出せた」。右足首のけが以来、毎日1時間半のケアをしてくれた倉橋トレーナーから「いずれチャンスは来る」と励まされ続けていた。

 国学院久我山との決勝へ、森重監督は「メンタル面でしっかり試合に臨めるよう準備したい」と気合十分。藤川は鳥栖U-15(ジュニアユース)出身で、同ユースに進む道もあったが、プレミアリーグ西地区でも活躍する東福岡にあこがれて進学した。「やっとスタートラインに立てた」と謙遜するが、「ヒガシ」(東福岡の愛称)を頂点に導く気迫はだれにも負けない。【菊川光一】

 ◆藤川虎太朗(ふじかわ・こたろう)1998年(平10)7月24日、福岡県生まれ。サッカーは3歳で始め、小1からFC ALLORO、中学は鳥栖U-15所属。U-15、16日本代表。50メートル走6秒2。170センチ、66キロ。家族は両親と弟、妹。

 ◆東福岡が「2冠」に王手 今年度の夏の総体で優勝した東福岡が選手権でも決勝に進出。同一年度で夏の総体と冬の選手権を制した例は過去4校で5度。66年度の藤枝東(静岡)、69年度の浦和南(埼玉)、97年度の東福岡、00、03年度の国見(長崎)が達成。今回の東福岡は国見に次いで史上2校目の2度目の夏冬連覇にあと1勝。