世界を知る男が新戦力に太鼓判を押した。J2札幌MF小野伸二(36)が沖縄金武合宿3日目の20日、新加入MFマセード(28)と青空“面談”を実施した。今季も攻撃の中心となる小野にとって、右サイドのアタッカーの特長を知ることは、チーム躍進のカギ。同じグループでパス交換しながら身のこなしなどもチェックし、性格、技術いずれを取っても、札幌への順応性が高いと導き出した。

 日本、オランダ、ドイツ、オーストラリアで、さまざまなタイプの外国人選手とプレーしてきた小野の目が、チェックした。ダッシュやターンを交ぜながらのパス交換。フィジカル強化の意味合いが強い練習だが約20分、対面してボールを蹴っていれば、自然と能力は推し量れる。

 「沖縄の初日から動きを見ているけど、足元の技術はあるね。まだ少しの時間だけど、うまいと感じた。ボールタッチも柔らかい」。うまさだけで、チームに融合するのは難しい。練習後のクールダウンではストレッチまで約8分間、ポルトガル語で対話した。「自分から積極的にとけ込もうとしている。こういう選手は札幌に合う。話していて明るいのもいい」。小野“先生”によるマセードの第1回適性診断は、技術、性格ともに「合格」と出た。

 マセード自身、昨年10月以降、実戦から離れており、本来の切れに戻すには、まだ時間は必要だ。だが佐川トレーナーは「実戦から離れていた期間を考えると、だいぶ動けている。本来の調子に戻れば、かなり運動量を発揮してくれるのでは」と話した。マセードも「とても調子がいい。チームの雰囲気もいい。この合宿をしっかりやりきりたい」と意気込んだ。

 天才による計28分の青空チェック。三上GMは「今季は3-4-3や3-5-2がベースと考えている」と話している。トップ下が濃厚な小野にとって、右サイドのアタッカーと期待されるマセードとの連係強化は、得点力を上げるための大事な作業になる。ここから沖縄、熊本と2度の合宿で戦術的にも磨きをかけ、互いの能力を、より引き出し合えるよう、密に意思疎通を図っていく。【永野高輔】