出場2分でアシスト! J2札幌MF小野伸二が琉球戦の後半25分から今季初の実戦出場を果たした。2分後の同27分には、右CKからDF進藤亮佑(19)の3点目をアシストし、チームの今季実戦初勝利を、お膳立てした。セットプレーからの得点力不足は昨季低迷の一因も、今季はDF増川、FWヘイスら高さある新戦力が加入。天才のキックを生かし、新たな武器に変えていく。大会は東京が2勝1分けの勝ち点7で優勝、札幌は3位だった。

 短時間でも、小野はしっかり見せ場をつくった。後半25分からピッチに入ると、右サイドからゴール前に蹴り込んだボールが相手に当たりCKとなった。「1点リードだったので次の点が大事になると思っていた」。「一瞬、目があった」と進藤。照準を定めると、瞬時に右足を振り抜き、小野らしい柔らかい弾道で得点を引き出した。

 「体は重いけど、頭は動かしながら」。左臀部(でんぶ)の張りで一時離脱したため、2月4日(湘南戦)まで実戦出場を遅らせる方針だった。29日の練習後、大塚フィジカルコーチと佐川トレーナーは「まだ無理しなくてもいい」と止めたが「試合の中で状態を確かめる方が、分かりやすい」と志願。自身の感覚を信じ前倒し出場に踏み切り、さらに、結果を出した。

 明確なビジョンを持って臨んでいた。「セットプレーのとき、ゴール前で強い選手が新しく入った。キック精度を高めれば得点が増えると考えながらやっていたので、こういう形で点が取れたのは良かった」。FWヘイス、DF増川らは空中戦に強い。自らのキックからの決定機をイメージし、初実戦からテストした。

 昇格への大きなヒントがある。昨季の全48得点中、PKを除くセットプレーからの得点はJ2ワーストタイの8だった。昇格組は大宮16、磐田24、福岡28で、J2初年度に躍進した金沢は23と武器にしていた。16年札幌は、小野の正確なキックと新戦力の強みを融合させ、セットプレーでの破壊力を植え付ける。

 開幕前に故障離脱した昨季の反省から、まずローギアでの試運転も「いい20分だった。実戦を経験すればリズムが上がってくる」と手応えを口にした。4日湘南戦、6日川崎F戦と徐々に出場時間を延ばす。2月28日から逆算し、段階を踏んで、キック精度も運動量もベストの状態に仕上げていく。【永野高輔】