5年ぶりに鉄のカーテンが敷かれた。J2札幌の四方田修平監督(42)が20日、今日21日の開幕前最後の練習試合(非公開)に向けた熊本・大津総合運動公園球技場でのセットプレー練習を、報道、一般見学者すべてシャットアウトして実施した。非公開練習は就任後初で、クラブとしても11年3月に石崎監督が実施して以来。26、27日も非公開練習が確定しており、異例の情報統制で28日の開幕東京V戦勝利につなげる。

 練習開始15分後、セットプレー確認の準備が始まると、札幌の広報スタッフが猛ダッシュで報道陣の方へ駆け寄ってきた。「誠に申し訳ありません。グラウンドの外に出ていただけないでしょうか」。新聞、テレビの担当者は、グラウンドを離れ、屋内の報道控え室に移動。そこから見学しようとすると、今度はコーチ陣から「そこで見るのも控えていただけないでしょうか」と、やんわり差し込まれた。

 スタンドにも一般見学者がいないことを確認してから、約30分間、セットプレーの確認が実施された。札幌の練習中は原則、報道陣はセットプレーの詳細を報じないという暗黙の了解の上で、見学を許されていたが、今回は、見ることも許されない、厳重なカーテンが敷かれた。

 四方田監督が、自身初の開幕戦に向け万全を期す。相手の東京Vも非公開練習を行っており、指揮官は「初戦は、お互いが分からない状態で対戦する。どういうメンバー、フォーメーションか知られない方がいいと思うので」と説明。今日21日、完全非公開で行う開幕前最後の練習試合も、本番へのシミュレーションの意味合いが極めて強く、どういう形であれ、情報が漏れる可能性を一切封じる姿勢を打ち出した。

 昨季、PKを除くセットプレーからの得点は、全48点中、J2ワーストタイの8。昇格組は大宮16、磐田24、福岡28で、J2初年度で躍進した金沢も23と、開きがあった。異例の対応も沖田コーチは「データを踏まえ、しっかりセットプレーをやりたいというのが今季の方針。そのために必要なことなので、協力お願いします」と話した。

 5年前の開幕直前に石崎監督が実施した際は、DFチアゴを前線で使う得点オプションを試していた。実際、開幕戦で使ったが、うまくいかず「もうやらん」と封じたが、結果的にJ1昇格を果たした。今季も勝つためにできることは、すべて試し、チームの質を高めていく。【永野高輔】

 ◆札幌の非公開練習 石崎監督時代の11年3月3日、紅白戦を非公開で実施して以来5年ぶり(2日後5日の開幕戦は0-2愛媛)。バルバリッチ監督は昨年3月1日、金沢との練習試合を相手希望で非公開にしたが、練習では実施していない。石崎体制前では、三浦監督が08年ホーム開幕横浜戦前日3月14日と同アウェー横浜戦前の2日間(8月21、22日)を非公開練習とした(結果は1-2、0-1)。