元日本代表FWで就任1年目の小倉隆史監督(42)が新生名古屋を開幕戦勝利に導いた。アウェーで磐田に1-0の完封勝利。初陣を白星で飾った小倉監督は試合後、ベンチ前で選手を出迎え、顔をくしゃくしゃにして抱き合った。

 小倉監督 選手の表情を見ても、開幕戦を勝てたことは非常に大きかった。一番ほっとしているのは私ですが(笑い)。

 “レフティーモンスター”と呼ばれた現役時代の94年8月13日、名古屋でプロ初得点を記録したヤマハスタジアムで、指揮官としての確かな第1歩を踏みだした。

 立役者となったのは、199センチの新加入のスウェーデン人FWシモビッチ(24)だった。0-0で迎えた前半29分、DF矢野の右クロスに反応。「非常に良いボールだった。合わせるだけだった」と、中央から頭でたたき込んだ。J1最長身得点記録となる規格外の一撃が決勝点となり、「開幕に勝つことが重要だった。本当に素晴らしい気分だ」。自ら欧州まで足を運び、獲得に動いたGMを兼任する小倉監督の期待に“一発回答”してみせた。

 3月6日の次節は昨年王者の広島をホームで迎え撃つ。小倉監督は「立ち上がりはプレスも甘く、後手に回った。最初から自分たちのリズムでできるようにならないと。まだまだやるべきことはたくさんある」と、大きな1勝も浮かれなかった。西野前監督、DF闘莉王らこれまでの顔が退団するなど新しく生まれ変わった名古屋が、10年以来6年ぶりの優勝を目指す。【前田和哉】